二周年の勉強会(事例検討会)の報告
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曇りがちですが,時折太陽も顔を出す,そんな感じの東京です.
たまには他の国の空も見たいですが,ま,空は続いているのだし,この今見上げている空も,遠く彼方の国の空に続いているんですね.
私は,東京から殆どは慣れない生活をしているので,時に,他の国の空を見上げて,色々考えたいと思うときもあります.私の友人の多くは,結構海外に出かける友人が多いので…
先週,ドイツに約一ヶ月滞在し,その後パリ(一週間程度滞在)を経由して帰ってきた友人も,また来週にはアメリカに飛ぶみたいです.この友人は,この三ヶ月くらいで,東京に滞在してるのはたぶん2週間くらいではないでしょうか?
また,私の髪を切ってくれている友人も,先々週から,イタリア,パリ,ドイツ… と約一ヶ月遠征しています.
と,まだまだ挙げればキリがないのですが,色々な国の空を見る機会があってうらやましいです.
私は今日も,東京の空の下で,一日病院勤務です.
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さて,本日は,昨日の勉強会のフィードバックを行いたいと思います.
昨日の勉強会は,第20回目の勉強会で,開始から二年目の勉強会でした.
ということで,過去の事例の総括を行うことにしました.事例は,第7回から第12回まで6回分を見直しました.
なので,昨日は,私の講義が中心となってしまいました.が,やはり,辞令を再度見直し,理論的に整理していくと,たくさんの気づきがあります.昨日の勉強会,とても充実しました.時間も,19時過ぎから21時過ぎまで,ビッチリ2時間強の勉強会でした.
【第7回から第12回までの総括】
第7回 「集団の中でどこまで個人を尊重するべきか・・・」:http://tsuyukis-support.sakura.ne.jp/?p=405
第8回 「集団の中でどこまで個人を尊重するべきか・・・」:http://tsuyukis-support.sakura.ne.jp/?p=457
第9回 「サービス利用につなげるために出来ることは何か」:http://tsuyukis-support.sakura.ne.jp/?p=487
第10回 「ステーションの役割と事業所とのつながりの持ち方?」:http://tsuyukis-support.sakura.ne.jp/?p=523
第11回 「こだわりがますます増えて」:http://tsuyukis-support.sakura.ne.jp/?p=563
第12回 「障害程度区分の重い利用者さんに対してどのように支援していけばよいか」:http://tsuyukis-support.sakura.ne.jp/?p=588
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全体の事例の総括をしながら,第7回・第8回の事例提供者,第9回の事例提供者さんが昨日も参加していましたので,この2事例を中心に講義をしました.
まず,第7回,第8回事例では,①集団における利用者Aさんの役割を考える,②Aさんの居場所,③Aさんの感情の設定や保障についてを少しフィードバックしました.その上で,集団援助技術(グループワーク)について整理しました.
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次に,第9回の事例ですが,こちらでは,多くのことを学習しました.大きく,①システム理論の講義,②サービス利用の弊害の講義の二つです.
①のシステム理論の講義では,家族システムに着目し,そもそもシステムで,家族や利用者個人を捉えるということはどういうことなのかを解説しました.更に,システム理論で重要となる相互作用についての解説も行いました.また相互作用と交互作用についての解説や,関係性と相互作用(交互作用)の違いについても解説をしました.
とても難しい内容でしたが,雰囲気が伝わればと思います.しかし,その後のフロアーからのフィードバックでも,「今までの支援モデルは,個人のみに焦点を当て,問題の原因を個人の内在に所持させ支援をしていたが,個人と環境との相互作用という視点でケースを見ていくことは重要だ」と,コメントをいただきました.
その通りだと思います.個人のみに焦点化する支援は,個人の更生や変化を強いるため,個人の能力(身体的・知的・精神的な能力や,モチベーションなどなど)が低い場合,もう支援が出来なくなってしまいます.
が,問題を個人と環境との相互作用面においた場合の支援は,とても幅広い支援方法の検討が可能になります.
次に,②のサービス利用の弊害では2つ挙げました.これは,1990年代以降,社会福祉基礎構造改革に伴うサービス利用方法の変化によって,措置制度から利用・契約制度に変換されることによって,新たに必要となったソーシャルワーカーの役割・機能といえるのではないでしょう.具体的には,2000年介護保険制度の導入や社会福祉法の改正,障害者自立支援法の導入などが挙げられますが,介護保険や自立支援は,利用契約を基本としているため,利用者と事業者は契約関係にあります.そのため,利用者の保護といった面からも社会福祉法では,第三者評価や苦情申し立て,サービス事業者の健全化などが整理されました.
それらの変化は,契約時代のソーシャルワーカーにとって重要な視点があります.それは,
①サービス利用を促進するあるいは選択するための情報提供や利用促進制度の充実化
②満足のいく選択肢を提供できるようなサービスの質や量の充実化
③適切な選択が遂行できるように保障する成年後見制度などの意思決定補佐制度の充実化
④サービスの中の権利侵害等に対する苦情申し立て制度の充実化
⑤施設などの運営全般を社会全体で監視する第三者評価システムの充実化
が挙げられます.
例えば,①の情報提供や利用促進制度の充実化を考えてみると,どのように情報提供するのか,そして利用を促進するのかですが,ここで重要になってくるのが,ソーシャルワーカーのアセスメント能力です.このアセスメントによって,具体的なアプローチや対応方法が変わってきます.例えば,情報収集能力や情報処理能力を査定した場合, 情報収集能力が高いが,それを処理する能力が低い場合,ペーパーでたくさんの情報を短時間に提供する事はしません.必要なサービスをある程度整理したうえで提供していくことになります.また,渉外能力や交渉能力,コミュニケーション能力を査定した場合,これらの能力が低い場合は,例えば,申請・相談窓口にあらかじめ電話を入れておく配慮や,名詞やメモを添付して,スムースに申請や相談ができるように配慮しておきます.手をとって,申請や相談窓口に一緒に足を運ぶだけが支援ではありません.相談者や利用者の能力を的確に把握することで,適切な量のサービス提供,支援ができるのです.
そして,最後に,前回の事例検討会での気づきについて共有しました.
それは,前回,子どもが知的障害を持っている参加者から,『私は,母親の「疲れて何もできない」という言葉に,共感できました.私も同じだと思います.疲れているときは,外のサービスを受けるのが億劫になる.外に出さなくなります.それはなぜかというと,外に出すことで気も遣うし,外で何かあったらまたその対処で疲れてしまいます』と語ってくれました.
この一言は,我々援助者に大きなきづきを与えてくれました.何か硬いハンマーで頭ガツーンと叩かれて様な衝撃です.
そして,ある程度ケアプランやガイドヘルパーの企画などを提示してもらって,それを利用するか,しないかのYes or Noで選択することも時には重要だと語ってくれました.我々援助者は,どうしても,本人やご家族の意思や主体性の尊重といった視点から,訴えてくるニーズばかりに目がいきがちですが,外に出さない一つの要因に「疲れて何もできない」という言葉が関連していたことに,ハッと気づきました.「疲れてできない」は,とても重要で,重たいメッセージだったんですね.我々援助者は,「疲れてできない」からこそ,サービスを導入すると考えますが,本当に疲れきっている時は,サービスを利用する気力もないんですね.
ということを再度学習しました.
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その後,第10回では,現在の支援モデルが,「地域生活支援」であり,施設とか,自宅とか,グループホームとか,住む場所ではなく,その住む場所が今まで慣れ親しんだ「地域」であるのかが重要であることと,そのためには単一職種や単一事業所での支援は不可能であり,施設と施設,職種と職種が連携し,協働していくことが重要であることを整理しました.
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第11回では,具体的支援方法に関してのフィードバックを,第12回では,年齢の若い利用者さんに対しての中長期的な支援計画策定の必要性や,学校(特別支援学校)と作業所等の福祉施設との連携体制や,支援モデルが変更するために生じる利用者の不適応やギアチェンジの重要性を整理しました.
以上,とてもギューギューに詰め込んでしまいましたが,昨日の勉強会のフィードバックです.
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