勉強会~集団の中で,どこまで個人を尊重するか

28 2 月, 2009 (08:06) | コラム(ライフスタイル), コラム(介護・福祉・医療), 講義・公演・講習

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本日,5時起床.何となく,寒さで目が覚めました.寒い朝です.


昨日は,一日病院勤務の後,駆け足(ダッシュ)で,移動.夜は,勉強会の講師でした.この勉強会も,昨日で7回目です.続けることって大切ですよね.


昨日の事例は,30代後半の知的障害(愛の手帳3度,障害区分2)の男性の事例でした.この事例の大テーマは,「集団の中で,どこまで個人を尊重すべきか」ということです.Aさんは,苦手な仕事や難しい仕事,精神不安定な時に,長時間トイレにこもってしまう.トイレに一時間近くいることもあれば,5~10分でトイレから出て,水を飲んでまたトイレにこもることを繰り返すこともある.トイレ内では,壁やドアを叩く音や,「ばか」などの乱暴な言葉が聞こえたりする.また,指のささくれを剥いて,絆創膏をはってもらったりすることがある.しかし,公園清掃や,他の利用者がトイレを使用したい時には,出てきてくれる.


このような状況のため,職員は,意図的に,他の人が使いたいといって,トイレから出したりするが,その人が出てくると,またトイレに入ってしまったりする.そのため,公園清掃にAさん以外に,3~4人連れて行くこともある.たくさんの人数で公園清掃に行くときは,殆ど清掃はせず,立っているだけであるが,このように少人数で行く場合は,積極的に清掃を行う.職員がねぎらいの言葉をかけると,Aさんは満足げだ.


以上の状況の中で,援助者として,Aさんのために他の利用者を巻き込んでもいいのかということ(Aさんのために,公園清掃に付き合う,3~4名は,みんなでやる作業から離脱させてしまうこと),集団の中でいかに個人を尊重したらいいのかが,事例提供者の悩みでした.


いつものように活発な意見交換が,約2時間繰り広げられました.家族関係などについても話し合い,母子の関係瀬についても,話し合われました.やはり,家族歴を紐解くことで,わかることもありました.その他,作業環境〈作業所の環境・物理的問題〉についても話しあわれました.かなり的確なアドバイスもでました.


この事例から,私は,グループワークの技術と理論について,少しコメントをしました.Aさんと3~4人の清掃に行く集団を,グループワークの原則で見た場合や,またこのAさんグループと作業所全体との関係性や相互作用性などについて整理しました.更に,①個人と集団,②個人のニーズと集団のニーズ,集団の中の個人のニーズなどについても少しお話をしました.また,「役割」という観点からも整理しました.


[グループワークの原則] ①受容と共感,②個別化,③参加と協力,④プログラム計画,⑤制限,⑥評価,⑦自己活用と自己覚知 (前田ケイ1992)


最後に,Aさんは,実は援助者が思い描くような「能力」ではなく,もう少し高い能力を持ち合わせており,それを集団を利用しながら,徐々に拡大,発揮できるように支援することが重要であることを提言しました.また,Aさんは,他者とかかわりを持ちたいが,相手にしてもらえないことや,どの様に他者との関係を保ったらいいのかが,わからず苦しんでいるのではないかと,付け足しました.


今回の勉強会は,参加予定者に,突発の予定が入ったため,少人数でしたが,その分,参加者それぞれの細かいお話や考えが聴けたので,またいつもと違った雰囲気のアットホームなものでした.


その後,打ち上げをしました.ホルモン焼きのお店に行きました.なんと,生ビールが「150円」.日頃,私はビールを飲みませんが,もちろん今回はビールをいただきました.とても楽しい飲み会でした.帰宅は,0時半でした.


本日は,10時から専門学校の教員会です.午後は,原稿の執筆や資料整理にあてたいと思います.


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