生活保護制度~第二回講義

17 5 月, 2009 (07:38) | コラム(ライフスタイル), コラム(介護・福祉・医療), 推薦図書

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本日5時起床. 本日は,一日お休みですが,いつもと変わらず5時起きでした.

昨日は,古くからの友人と三人でイタリアンを食べに行きました.スプマンテ(イタリアのスパークリングワイン)+白ワイン+赤ワインと,ワインを堪能しました.なかなか時間が合わず,久しぶりの再開でしたが,旧友は,数秒で一気にココロが開放されます.

さて,本日は,生活保護制度二回講義をしたいとおもいます.前回は,生活保護の目的について整理しました(⇒生活保護制度第一回講義:http://tsuyukis-support.sakura.ne.jp/?p=486).

本日は,生活保護の原理・原則について説明したいと思います.まず,原理と原則について,辞書的な意味を整理しておきたいと思います.原理とは,事象やそれについての認識を成り立たせる,根本となるしくみであり,原則とは,基本的な規則や法則です.しばしばこれら二つは,区別せずに用いられるが,原理は主として存在や認識に,原則は主として人間の活動に関係するとされています.

生活保護は,3つの原理と,4つの原則が,それぞれ生活保護法に規定されています.まず,3つの原理ですが,それは,①無差別平等の原理,②最低生活の原理,③保護の補足性の原理です.

①無差別平等の原理(生活保護法第2条)は,生活保護法の解釈・運用において,人種や信条,性別,社会的身分や生活困窮に陥った原因などによる給付制限などの差別的な扱いをしないとしています.同時に,この規定は国民が保護を受けることを「恩恵」ではなく,「権利(生存権)」として定めているもので,この法の要件を満たす限りにおいて,保護の請求権(生活に困窮しているものが給付を請求できる権利)をすべての国民に無差別平等に付与しているものと解釈することができます. 

②最低生活の原理(生活保護法第3条)は,同法が日本国憲法の25条に規定される生存権保障に基づき制定されているため,生活保護の扶助は,日本国憲法の規定をふまえ「健康で文化的な最低限度の生活」を維持するできる水準とされている.実際の保護基準については,同法8条の規定により厚生労働大臣が設定しています.

③保護の補足性の原理(生活保護法第4条)とは,生活困窮者が生活保護に基づく扶助を受ける用件として,資産や能力を活用し,また民法(877条)に規定される親族(直系血族及び兄弟姉妹及び三親等内の親族)による扶養や利用できる制度や法律を活用することが,生活保護法よりも優先されており,生活保護法はその不足分を補うものということです.そのため,保護に先立っては,資産調査(ミーンズテスト)が施行されます.少し細かいことですが,資産とは,土地や持ち家などの不動産です.能力とは,就業能力です.つまり,基本的に病気などがない場合は,65歳以下の人は就業の能力があると認定されるため,なかなか生活保護を受給できない現状にあります.

一方で,生活保護法は,他の福祉制度及び関連制度を優先としているため,セーフティ・ネットの役割・機能を果たしているため,この網(ネット)かのらこぼれ落ちは,「死」に直結するとても重要な制度であることも理解できます.生活保護の窓口の担当者は,自分の価値観や色眼鏡で申請を操作していないかをもう一度点検する必要があります.生活保護の担当の方とは,たくさん仕事しており,本当に不休の中,ケースに取り組んでいる方もたくさんしていますが,一方で,劣悪な担当もたくさんいます.自分たちがやっている仕事が,人の生死にかかわっているんだという意識を持ってほしいです.平気で嘘やごまかしをする担当者いますからね.そういう担当者とは,協働することもできません.本当に一生懸命やっている方たくさんいるんでが,こういったいい加減な担当者によって足を引っ張られているのも事実です.ただし,生活保護担当部署は,過酷な労働状況であること事実です.担当者を増やすなどの対策は急務だと思います.もちろん,我々のような福祉専門家を行政も採用して,必要部署に配置していくことも重要です.

以上,原理について整理しました.本当は,4原則についても講義する予定でしたが,原理だけでかなりの量になってしまったので,4原則は,次回第3回の講義にしたいと思います.生活保護という用語だけは,知っていた,聞いたことがあるという方は多いかと思いますが,3つの原理を理解することで,生活保護の概要が整理できたかと思います.

 『プロケースワーカー100の心得』 柴田純一著 現場を知る柴田氏がケースワーカー業務の意味と心構え,実際の仕事や生活保護法の解釈と運用をめぐる問題,働きやすい職場環境などについて整理しています.福祉事務所新人職員に向けた解説書ともいえる本です.生活保護に興味がある方は絶対お薦め.

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