生活保護制度~第一回講義

15 5 月, 2009 (08:24) | コラム(ライフスタイル), コラム(介護・福祉・医療), 推薦図書

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本日5時起床. 昨日は,午前専門学校の講義をして,午後から病院勤務でした.病院勤務は,14時から18時まで休む暇なく,面談室,病室,カンファレンスルームを飛び回っていました.昨日は,ほぼ定時に帰り,資料整理や試料作成をしていました.

本日は,昨日の講義のお話を少しいたいと思います.昨日の講義では,「生活保護制度について」でした.社会福祉において,「貧困問題」は,昔も今も,大きなテーマとなっています.また,この貧困問題は,若年(齢)化しており,我々若い世代にとっても無関係な問題ではありません.以下紹介する書籍の著者岩田氏は,「貧困」は今に始まった問題でなく,戦後,その時代にもあったのだと強調する.経済成長下でも,バブル時代にだってあったという.が,今日は,この貧困はテーマにしません.

 『現代の貧困~ワーキングプア/ホームレス/生活保護』 岩田正美著

保育専門学校での講義なので,なぜ,保育士にこの生活保護の知識が必要なのかから伝えます.それは,保育所が児童福祉施設だからです.つまり,共働きをしていて,日中の養育ができない人もいれば,親が病弱で養育ができない人もいます.ひとり親家庭で,日中の養育ができない人もいます.また,年収も共働きをしている場合,二人の収入が1000万円を越える家庭もありますし,アルバイトやパートで,40,000円程度の収入の人もいます.勿論,様々な理由により仕事ができず収入がない人もいます.そういった意味では,保育所を利用する家庭に,生活保護を受給して生活する家庭もたくさんあります.

無知はとても怖いもので,わからないから接し方もわからず,無知が故の差別や偏見をしてしまうこともあります.我々援助者は,関わるのだからこそ,相手の状況や立場を適切に理解しておく必要があります.無知のまま関わることは,罪ですね.専門家による二次的・三次的被害を起こしてしまいます.

生活保護の目的を見てみると,「日本国憲法第25条の生存権保障の理念に基づいて,生活に困窮する全ての国民の最低限度の生活を保障し,その自立の助長をはかる」とされています.では,日本国憲法25条とは,何か.これは,国民の生存権と,これについて国が保障することを謳ったものです.

憲法25条第1項では,「すべて国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とされ,同条第2項では,「国は,全ての生活部面において,社会福祉,社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」としています.この条項を具体化するために誕生したのが「生活保護法:1950(昭和25)年」です.

ここまででわかることは,生活保護の目的は,①国民の生存権保障,②自立の助長の二つの意味合いを持っているということです.つまり,「健康で文化的な最低限度の生活」を,「国」が保障することであり,ただし,生活保護を受給する状態になった人々も,また再び,自立(自活)した生活が送れるように自立支援をすることです.

生活保護をイメージだけで捉えていた人は,生活保護の目的には,二つの視点があることを理解しておくといいと思います.生活保護第二回講義では,生活保護の原理と原則について,お話したいと思います.第三回講義は,生活保護の種類と内容についてお話したいと思いますので,しばらくおまちください.

本日は,一日病院勤務.その後,知的障害者作業所の職員の事例検討会(勉強会)の講師です.

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