認知症の家族の理解と共感
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本日,5時起床. 東京は,今日も秋晴れです.空が気持ちいですね.青一色の空というより,雲の白と空の青との配分が丁度いい感じの空です.
昨日は,一日病院勤務のあと,部署内の勉強会をしました.二人の後輩ワーカーが,発表をしたのですが,一人は認知症家族の共感について発表し,もう一人はケーススタディ(ケースのフィードバック)をしました.
前者の認知症家族への共感は,正直,厳しいコメントをしました.何故なら,全然共感できていなかったからです.つまり,同情に入っていってしまったのです.共感と同情は,勿論違います.ここで用語の整理をしておきますが・・
*同情とは,差し迫って困っている相手の苦しみ・悩みを,相手の立場に立って理解し,そのうちによい運がめぐってくることもあるのだからあまり悲観的にならないようにという気持ちを抱く(言葉に表す)こと.(新明解『国語辞典』第6版・三省堂)
*共感とは面接の基本的な方法のひとつ.クライエントが見たり,考えたり,感じたりしていることについて,ワーカーがクライエントの立場から理解を深めること.(『社会福祉用語辞典』第7版・ミネルヴァ書房)
ということで,共感と同情はこのように違うのです.今回のような共感をしてしまうと,逆転移になりかねないと思い,修正を行いました.
ただ,認知症高齢者が,リハビリを目的に入院してきたにもかかわらず,その病状説明やカンファレンス(家族を含む)の場で,歩行レベルが上がらないのは,歩行レベルが安定しないのは,補助具を上手に活用できないのは,持っている歩行能力を統制することが出来ないのは・・・・・・認知症が要因であると言われ,ここではじめて,家族は,妻や夫,親が認知症であることを告知されるわけです.
一方,医療従事者側は,この告知がそれ程深刻的なものではない,80歳代になれば誰でも認知症になるといった認識の基で,告知をする傾向があります.
認知症の告知は,障害の告知や癌の告知と同様に考える人も少なくありません.
「今までに,家族の思い出が一つひとつ消えてなくなっていくのだ」
「唯一の夫・妻,子どもであるのに,忘れられえていってしまうのだ」
「自分の意思も満足に伝えられず,生きていかなければいけないのだ」
と,思考する人も少なくありません.
そういった意味では,後輩ワーカーが行った認知症家族への共感の作業はとても重要です.しかし,上述の思考,心情だけではありません.この認知症という事実と戦うストレングスやレジリエンスがあるのです.この辺りも,共感していかなければいけないのだと思います.
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もう一方の後輩ワーカーは,ケースのフィードバックをし,ソーシャルワーカーの仲介・媒介・代弁機能の重要性と,その意識化について整理しました.内容自体はとても充実したものでした.ケースを動かす際,常にスーパービジョンしているのですが,状況を的確に把握し,どの資源とどの資源,どの人とどの人が結びついているのか,結びついていないのか,結びつける必要があるのかを,図式化し,意識化し,ネットワーキングしていきます.そして,その連携や協働の場で,仲介や媒介機能,代弁機能を発揮していきます.
私からのコメントとしては,このケースに関しては,仲介・媒介・代弁機能のほかに,もっと重要な機能・役割を果たしていたことを指摘しました.それは,ファシリテーターとしの役割・機能です.意図的に,道筋を立て,道案内をし,牽引していく役割や機能です.
このケースに関しては,登場するクライエント,社会資源すべてが,消極的でした.なぜ消極的だったかというと,前例がないケースだったからです.クライエント本人は勿論ですが,社会資源も,今回のようなケースを扱ったことが無かったのです.そういった意味では,無知な部分もありますし,どのように自分たちが動いていいのか,動かない方がいいのかが,分からなかったのです.悪気があってではないし,どうにかしたいという気持ちはあったのですが,誰かが言い出して,牽引しなければならなかったのです.
そういった意味では,ソーシャルワーカーがファシリテーターとなって,全体を牽引していく必要がありました.勿論,院内でもはじめてのケースだったため,ソーシャルワーカーがコンサルテーションしていくこととなりました.
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と,言った内容の勉強会でした.その後,新宿のイキツケのイタリアンで,ワインを頂きました.スプマンテと白ワインを頂きました.ソムリエール兼女将さん(店長),ベストチョイスの白ワイン,おいしかったです.あと,マスター(料理長),いつもおいしい,色鮮やかな料理の数々圧巻です.〆のリゾットおいしかったです.
そんな一日でした.
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本日は,一日病院勤務です.夜間の講義もあります.また,移動の一日です.
『認知症の介護のために知っておきたい大切なこと―パーソンセンタードケア入門 』 星の数ほど「認知症ケア」の本は出ていますが,あまりパッとしたものがありません.また,認知症と言っても,出てくる症状や障害,生活上の問題点や課題は,人それぞれです.今回紹介する本は,「認知症の介護」とタイトルが書いてありますが,すべての対人援助に応用可能なないようです.是非一読ください.
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