援助者の価値観~自己覚知

19 5 月, 2009 (08:16) | コラム(ライフスタイル), コラム(介護・福祉・医療), 推薦図書

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本日5時起床. 昨日は,午前病院勤務.午後から学芸大で講義でした.何となくバタバタの一日でした.移動中の電車も,帰りの電車も遅延でした.本日は,一日病院勤務です.


さて,今日の話題は,価値観についてお話したいと思います.なので,本日は生活保護のお話はお休みです.


昨日の学芸大(援助技術演習)の講義では,自己覚知(理解)の一環として,自分自身の価値観について少し考えていました.ある事例を出し,自分の考え(価値観)に基づき選択してもらうワークをやりました.まず,個人作業を行い,次にグループでの討議,そして,クラス全体で各グループの発表を聴き,共有化していきました.最後に,個人作業に戻り,自分の価値観と他者との価値観,そして,グループで作成した価値観を比べて,自分自身の価値観を理解してもらいました.


ここで重要なことは,「私の価値観はソーシャルワーカーには向かない」,「私の価値観は他の人と違うからおかしい」,「この価値観を直さなければ」・・ということ,ではないということです.私なりの価値観こそ,その人の独自性であり,特性ですから,それを直したりすることはありません.つまり,自己の価値観をよく理解することが重要であるということです.もし,価値観のゆがみなどに気がつかない場合,相手を偏り,誤って判断するかもしれません.私たち援助者は,相手をよく理解する為に,まず自分がどのような価値観を持っているのか気がつくことが必要なのです.


次に,この自身の価値観にジレンマが生じる場面があります.それを整理すると,以下の4つが挙げられます.


①自分の価値観とソーシャルワーク倫理とのジレンマ


②自分の価値観とクライエント(利用者・家族)の価値観とのジレンマ


③自分の価値観と同僚/他の専門職の価値観とのジレンマ


④自分の価値観と所属する組織の価値観とのジレンマ


まず,新人のワーカーがぶつかる壁は,①②でしょう.①については,大学教育を通して,ある程度理解されているかと思いますが,実際の臨床現場で遭遇する事例場面において,時々ジレンマが生じます.そして,入職直後から一年未満では,②のクライエントの価値観の理解に苦しむことになります.学校でも,想定された演習はおこなわれますが,実際の事例では,クライエント独自の価値観に戸惑うでしょう.このとき,先輩ワーカーからの適切な支持や指導を通して,成長していきます.


次に,③のジレンマも,院内や施設内の状況や職場内の状況が把握・理解され始めた半年くらいから生じます.特に,他の専門職の価値観とのジレンマに戸惑い,苦しむのではないでしょうか.そして,短絡的に「あの人はわかってない」と他者を攻めてしまうこともあるでしょう.このときは,他者理解が重要になります.他者はどのような価値判断・価値基準のもとで,そのような言動をしているのかを理解することが重要です.


最後に,④の所属組織の価値観とのジレンマですが,2~3年くらい経つと痛感するのではないでしょうか.施設や病院,職場の経営状況や実態がわかり始め,それに参画しはじめると,気になってくる点です.このとき,自分の価値観と所属組織の価値観の違いをよく理解しない場合,ケースのストーリに一貫性がなくなってしまいます.そうなると,一度構築された利用者との信頼関係をあっという間に崩壊してしまいます.また,このスタンスで面接をおこなっていくと,いつまでたっても利用者との信頼関係が構築できません.


つまり,ソーシャルワーカーは,常に自身の臨床や知識,技術を点検すること.常に自身を理解し,自己覚知し続けること重要なのです.そういった意味では,それをサポートしてくれる先輩ワーカー(スーパーバイザー)の存在は重要になってきます.


 『価値と倫理を根底に置いたソーシャルワーク演習』 川村隆彦著 新人ワーカーの方は是非一読!とてもわかりやすいです.昨日,学芸大の講義で使用したテキストになります.事例やエッセイなどもたくさん収録されていて,読み物としてもおもしろいです.


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