生活保護制度
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いや~ 夏みたいに暑いですね.海や山にいる時,この暑さ・・最高~ですが・・
通勤や都心にいる時の「この暑さ」は,ストレスになったりもします.
島にいるときは,暑さってさほど気にならないのですが… いや正しくは,汗をかいても気にならないんですよね.Tシャツにハーフパンツ,ビーチサンダルだから.
それに海にいる時は,確かに暑いですが,汗なんか全然気になりませんからね.
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昨日は,午前講義で,午後から病院勤務でした.
午前中の講義をフィードバックしてみると,昨日は「貧困と生活保護」について講義をしました.
まず,貧困問題については,二つの切り口で整理しました.
まず一つ目は,貧困問題・貧困対策が社会福祉の原点であり,ソーシャルワークが最初に対応した社会問題でした.時代は,1800年代にさかのぼりますが,イギリスにおいて,産業革命に伴う貧困問題に対応したのがソーシャルワークでした.
当時,「貧困」とは個人の問題であり,つまり貧困になるのは本人が怠けているからだとか,だらしないからだと考えられていました.しかし,1880年代後半に社会調査が実施され,ロンドン市民の30%が貧困状態であることが示され,貧困は,個人の怠惰によるものではなく,社会的な問題であり,社会の構造的問題であること分かりました.
具体的な活動としては,COS(慈善組織協会)の活動であり,セツルメント運動でした.
これにより,ソーシャルワークは,個人と社会的環境双方へアプローチを行います.個人への直接援助と,社会的環境への間接援助(社会的環境へ直接的に働きかけますが,社会的環境への取り組みは,間接的な個人への支援と考えていました)を行います.これがソーシャルワークの誕生です.
という歴史的なお話と.
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二つ目に,現代においても貧困問題は存在し,貧困問題の取り組みが現代のソーシャルワーク(社会福祉)の課題であることです.
例えば,ホームレスの問題や,ネットカフェ難民,ワーキングプアといった格差です.これに伴い,社会的排除という言葉も存在します.これは,仕事を失うといった,経済的な貧困にとどまらず,社会からのドロップアウトや,社会とのつながりの喪失へと展開することを意味します.
つまり,現代の貧困とは,経済的な貧困に加えて,社会関係の喪失をも合わせ持つ状態となっているということです.
以上のことから,現代の貧困は,単に物質的な貧困という問題だけでなく,地域社会の希薄化や家族規模の縮小などの背景も相まって,社会的孤独の問題などと複雑に絡み合っています.
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次に生活保護について少し整理してみたいと思います.昨日の講義では,生活保護の基礎を整理しました.
そもそも生活保護法がなぜ誕生し,生活保護法が目的とするもや,理念として掲げる原理や原則について整理しました.
まず,生活保護法ですが,これは戦後1950(昭和25)年に誕生した社会福祉六法の一つの法律です.この法律の誕生に関しては,同法の第一条の目的で明確にされています.
生活保護法第1条(目的) 「この法律は,日本国憲法第25条に規定する理念に基づき,国が生活に困窮するすべても国民に対し,その困窮の程度に応じ,必要な保護を行い,その最低限度の生活を保障するとともに,その自立を助長することを目的とする」としています.
もう少し具体的にお話しすると,つまり,日本国憲法25条は,生存権保障を謳っている条文であり,
第25条では,すべての国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有するととされており,国はすべての生活部面において,社会福祉や社会保障,公衆衛生の増進に努めることが示されています.
この条文を具体化するために生活保護法が存在します.
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では次に,3つの原理と4つの原則を列挙しておきます.
【原理】
①無差別平等の原理(第2条)・・・人種や信条,社会的身分や生活困窮に至った原因などによる給付制限など差別的扱いをしないこと.この規定は,保護は恩恵でなく権利であり,保護の請求権を有していることが示されています.
②最低生活保障の原理(第3条)・・・「健康で文化的な最低限度の生活(日本国憲法第25条)」を維持する水準で,これについては,同法第8条「基準及び程度の原則」の規定により厚生労働大臣が設定することになっていますが,物価変動にともない具体的な支給額が示されています.
③保護の補足性の原理(第4条)…資産や能力を活用し,また民法に定められる親族による扶養や利用できる他の法律を活用することを生活保護法よりも優先し,生活保護法はその不足分を補うものとしています.そのため,保護に先立って,収入や資産,稼働能力,扶養義務者の有無などの資産調査(ミーンズテスト)がおこなわれます.
【原則】
①申請保護の原則(第7条)・・・保護は,申請に基づきます.本人以外にも扶養義務者や同居の親族も申請が出来ます.また職権による必要な保護も可能です.
②基準及び程度の原則(第8条)・・・「健康で文化的な最低限度の生活」を基準とし,要保護者の年齢や性別,世帯構成別,所在地域別,保護の種類(扶助の組み合わせ)に応じて必要な事情を考慮した,過不足無いものとされています.
③必要即応の原則(第9条)・・・必要性の相違を考慮して,有効かつ適切に保護を実施すべきという原則です.この原則については,まだ授業で取り扱っていないので,次回お話をします.
④世帯単位の原則(第10条)・・・同一の住居に居住して,生活を一にしているものを同一世帯と認定し,その世帯を一つの単位として保護の要否や程度を判定し,実施するという原則です.これもまた徐業では取り扱っていないので,次週詳しくお話します.
以上,昨日の講義では,生活保護の目的,原理,原則について整理しました.
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生活保護制度に関しては,ソーシャルワーカーにとって必要な知識なので,よく学習しておきましょう.
今後ともよろしくお願いいたします.虹(レインボー)をワンクリック.情熱ブログの順位が分かります ⇒
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