死を考えることは,生きることを考えること.

12 6 月, 2010 (08:40) | コラム(ライフスタイル), コラム(介護・福祉・医療), 推薦図書

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爽やかな朝です.土曜出勤です.土曜日は,面談がたくさん入る日です.

昨日のある面談を少しお話したいと思います.

その前に,以前,ソーシャルワーカーは,「想像すること」「イマジネーション」が大切だってお話したかと思います.皆様も少し想像しながらこれからの話を聞いてください.

来談者は,患者さんの父親と実兄の二人でした.本人の年齢はまだ40歳台ととても若いです.病名は,癌(がん)です.そして,状況としては,末期の状態です.

いま大学病院にいて,家族の要望から自宅近くの環境のいい病院で最期の時間を送ってほしい,そして本人もそれを望み当院の個室で入院することとなりました.

昨日は,その前の事前面接でした.私は現在までの経緯や今までの生活,本人の要望やご家族の要望などなど拝聴しました.更に,自宅で最期を看取ることの要望などを拝聴いたしました.

このような状況になるまでに時間がそう必要ありませんでした.

今年4月末.疲れが自覚症状でした.ゴールデンウィークに嘔吐などがあり,本人自身異変に気がつきます.ゴールデンウィーク直後の5月半ば今入院している大学病院に検査目的で入院となりました.

そして,6月(今月)始め,兄と本人で病状説明を受けます.病名は癌.状況は末期で,放射線も外科的治療も出来ない状態でした.

その時,本人は,医師に自分の予後(余命)を聞きます.

医師が下した結論は・・・・・

「余命1ヵ月」

父親もショックで,面談中終始呆然としています.思考がワンテンポ遅いんです.耳が悪いわけではないのですが,私の質問にワンテンポ遅れて答えるか,聞きかえす状況でした.

兄は,いつも車で移動してるが,今は危ないから自ら車の運転を自重しているといいます.信号停止の時は,スムースに車が流れている時など,意識が飛んでしまうのだといいます.

父親は,『娘は,この頃自分の状況を冷静に受け止めてきた』といいますが… ただ気丈に振舞っているだけのようです.

告知から一週間足らず… 今は,安らかに最期の時間を過ごせる場所を確保することのみにしか視点がむきません.

私と,担当の医師は,まず安心できる場所を当院で確保することを約束し,最期の残った時間で,何が出来るか,何をしたいか,何をしてあげたいかを考えていこうと提案しました.

準備をしていたら,もう間に合わないかもしれません.今ままだ,食事は少量ですが口にし,疼痛はありません.が,明日急激に状態が落ちることも考えられます.本人や家族に残された時間はそう多くはありません.

そのために出来る支援は全面的にして行きたいと思っています.

自宅で少しでも生活したいのであれば,医師も私も今もっている社会資源を総動員して,明日にでも自宅体制を整えますし,最後の最後まで自宅に居たいのであれば,それをサポートしていきたいと思います.

この担当医とは,何度も,ターミナル患者を自宅に帰し,最期の時間を家族で過ごしてもらう支援をしてきました.自宅に帰って2日でなくなったケースもあります.

フカフカのベットを翌日に調整し,そのベットで半日家族に見守られてなくなったケースもあります.

それでも,本人や家族がどうしたいかによって,我々医療従事者は出来る限り最大の支援をしていきたいと思っています.

皆さんは,この一週間,何を考え,何を感じ生活してきましたか?

そして,一ヵ月後の自分を想像してみてください.一年後の自分を想像してみてください.

一日一日を大切にしたいですね.

死を忘れてしまい,死が非日常なのは幸せボケした日本人だけなのでしょうか?

ちょっと話は変わってしまいますが,サッカーのワールドカップが始まりましたが,昨日の華やかな開会セレモニーで「主役」になるはずだった元大統領のマンデラ氏の姿がありませんでしたが,ひ孫である13歳の少女が前夜,交通事故で亡くなったために出席できなかったようですね.

死って,意外と身近にあるものなんですけどね.

「死を思え(死を忘れるな)」という意のヨーロッパ中世末期にさかんに使われたラテン語の宗教用語で「メメント・モリ」という言葉があります.

死を思うということは,死ぬということではなく,生きるということ.

生きるとか,死ぬとか…色々考えてしまうかもしれませんが… 私は,死にも,生にも意味なんてないのだと思います.

 

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