メアリー・リッチモンドという人は・・・

25 5 月, 2010 (08:09) | コラム(介護・福祉・医療), 後継者育成事業

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昨日は,午前病院勤務の後,午後からは大学の講義でした.


援助技術論では,リッチモンドのソーシャル・ケースワークについて整理しました.90分つかってみっちりと・・・


私個人的には,リッチモンドをもう少しじっくりやりたいのですが… テキストで,リッチモンドの『Social diagnosis:社会診断(1917)』や『What is social case work?:ソーシャルワークとは何か(1922)』に関して,細かく説明をするものがありません.


そのため,講義では,パワーポイントや板書を駆使して,リッチモンドが科学的根拠としたものは何か,「個人」と「社会環境(環境)」をどのように規定し,それらの関係性をどのように整理したのか.ソーシャルワーク目的はなんだったのか・・・などを,丁寧に解説していきます. 



本日は,リッチモンドについて,少し整理しておきたいと思います.


リッチモンドのソーシャルケースワークの定義については,小松(1991)によって紹介(翻訳)されています.それによると,『人間社会環境との間を個別に,意識的に調整することを通してパーソナリティを発達させる諸過程から成り立っている』と紹介しています.


整理していみると,リッチモンドのソーシャルケースワークの目的は,パーソナリティの発達でした.


ではパーソナリティとは何か? それは,人間における生来的・個人的なものを意味するものではなく,教育や経験,他者とのかかわりなどによって,身についていくものであり,体質的遺伝や受け継がれた普遍の生来的特質は,個人的なものであり,パーソナリティではないとしている.つまり,パーソナリティとは,人間の発達してきた共同社会や制度に密接に関係しているということです.


そのため,パーソナリティを形成する要素には,「社会環境」も必要となってきます.


更に,リッチモンドは,社会環境を以下のように整理しています.社会環境とは,単に空間的な環境ではなく,人間の思考や人間環境を維持していけるギリギリの際までに拡張され,人間における感情的,情動的,精神的生活に,実際に影響を及ばす範囲であるとしています.


現在のソーシャルワーク論では,環境については,生態学視座を中心に理解しているため,リッチモンドが想定していた社会環境とは異なり,もう少し広義な意味で使用しています.勿論,当時,システム理論があったわけではないので,AとBは関係しているし,影響していると考えてはいましたが,双方向の力で保たれているということは思考できていませんでした.


このことから,パーソナリティとは,個人に所属するものですが,極めて社会環境の影響を受けてるものであり,視覚的にいうと「皮膚」のような存在であるといえるのではないでしょうか(これはあくまでも私の表現です).


更に,リッチモンドは,洞察(アセスメント当時は,診断ですね)として,「個人性の理解」と「社会環境の理解」を挙げ,アプローチや援助視点(行為)としては,慈善的視点や心(心理面)に対する直接的な作用と,社会資源を通じての間接的作用や社会資源の活用を挙げています.この2つの視点への援助をすることにとって,パーソナリティが進展すると考えました.


援助視点①:個人への理解(個人のアセスメント) ← 慈善的視点や心に対する直接的な援助


援助視点②:社会環境への理解(社会環境のアセスメント) ← 社会資源を通じての間接的な作用・社会資源の活用 


*この時代,アセスメントと用語は使用していません.理解する為にアセスメント言う用語を使用しています.


このほか,共感の重要性や技能訓練(ソーシャルワーク教育)の重要性も述べています.


・・・と,リッチモンドのことを語ると,止まらなくなってしまいます.昨日も講義でお話しましたが,各自で,自主学習をしておくとよいのではないでしょうか.続きは,以下の参考文献をご覧ください.


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