「問題」の所在はどこ?
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本日は,社会福祉特有の問題の捉え方をお話したいと思います.
何故かと言うと,昨日の講義で社会福祉特有の問題の捉え方についてお話をしたから復習です.
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社会福祉学では,問題の所在をどこにおいているかということを少し解説すると…
まず,社会福祉学では,「個人」と「環境」との関係性に着目する学問なので,要素としては,「個人」と「環境」があります.
個人とは,その人個人であり,環境とは,社会や地域,集団,他者などなどです.本日は,この個人とは何か,環境とは何かについては,詳しく説明しません.
で,問題が所在する場所を考え見ると.
1)個人の内面
2)環境の内面
3)個人と環境との相互(交互)作用面
が挙げられます.
ここで,問題の主語は誰かと言うと,もちろん「私(個人)」です.
つまり,
1)個人の内面に問題がある場合,私自身の脆弱さによって問題が生じていると考えます.
2)環境の内面に問題がある場合,環境の脆弱さによって一方的に個人に問題を生じさせていると考えます.
3)個人と環境との相互(交互)作用面に問題がある場合は,個人と環境の相互(交互)作用に不均衡や,摩擦によって問題が生じていると考えます.
では,このときの問題解決方法を考えてみると.
1)の個人の内面に問題が所在する場合.この問題解決は,その人自身が変化するか,もしくはその問題自体が完全に取り除かなければ解決になりません.例を挙げると,「風邪」と言う問題を抱えた場合,この問題の解決方法は,薬を投与したりしますが,これによって「風邪」が完治し,問題が取り除かれるのです.つまり,このような考え方を「医学モデル」と言います.
次に,2)の環境の内面に問題が所在する場合の問題解決は,環境そのものに問題があるため,物理的に修正を加えます.例えば,バリアフリーにしたり,システム自体を変化させたりです.これによって,個人の問題が解説します.このような考え方を,「社会モデル」と言います.
最後に,3)の個人と環境との相互(交互)作用面に問題が所在する場合の問題解決方法は,ターゲットは,あくあまでも「個人と環境との相互(交互)作用面」ですが,視点として1)の個人,2)の環境への変化も含んでいます.そして,この1)個人と,2)環境との調整を心がけます.
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簡単ですが,社会福祉学では,問題を単に個人の脆弱さや環境の脆さによって生じていると考えるのではなく,その関係性,つまり相互(交互)作用面の不均衡や摩擦によって生じているのだと考えます.
現代のソーシャルワーカーは,個人を的確に捉える能力と環境を適切に捉える能力とが必要となってきます.そして,捉えたものを言語化し,文章化するアセスメント作業が重要であることがわかります.
また,現代のソーシャルワークでは,個人の脆弱さのみに着目して支援するんどえはなく,個人の強みや独自性といった「ストレングス」にも着目して支援することが重要であると言われています.
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と,本当に概論的にしかお話できませんでしたが,本日は,社会福祉特有の問題の捉え方について整理しました.
学芸大の「社会福援助技術論Ⅰ」,「ソーシャルワーク論Ⅲ」受講生の皆さん.来週からソーシャルワークの歴史です.1800年代半ばから1900年初頭のソーシャルワーク誕生期,その後の「機能主義」「診断主義」,「問題解決アプローチ」… 「システム理論」,「エコロジカルシステム論」,「ナラティブ・アプローチ」… と歴史から現代のソーシャルワークまでを数週続けて解説していきます.そういった意味では,ソーシャルワークの体系化・専門化に貢献したリッチモンドはよく事前学習して置いてくださいね.
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