看取り(ターミナルケア)を考える

26 2 月, 2010 (08:15) | コラム(介護・福祉・医療), 推薦図書

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本日は,看取り(ターミナルケア)について少し考えてみたいと思います.

というのも,ケースとしてとても多いことと,昨日行いました地域連携会議での研究発表内容が「看取り」だったので,本日の話題は看取り(ターミナルケア)です.

◆◆◆

昨日行いました地域連携会議では,地域の介護施設との円滑な連携ややり取りを実現する為に,三ヶ月に一回の頻度で,会議を行っています.内容としては,1.近況報告やインフォメーション,2.当医療福祉相談室からのテーマに即した研究発表,3.テーマに関する意見交換の三部構成となっています.時間としては,90分(一コマ)です.

昨日発表したテーマは,「介護施設・病院の看取りに関する現状と課題の検討~地域の連携を中心に~」と題しまして,本会議参加12施設へのアンケート調査を基に,①地域(施設)における看取りの体制についての現状把握をすることによって,②今後,地域で取り組む課題や,病院・施設それぞれの課題を検討することを目的として行いました.

余り詳細を報告することが出来ませんが,アンケートでは,(1)看取りを可能にする要因/(2)見取りに関する課題となる要因を以下の10項目から選んでもらいました(順位をつけました).

10項目とは,①施設長の方針,②看護責任者の方針,③医療機関の併設,④環境整備(個室等),⑤栄養・食事,⑥疼痛緩和,⑦看護体制,⑧介護体制,⑨精神(心理)的支援,⑩家族とのかかわりや話し合い(価値観等)です.

これを以下の5分類に整理しました.

①施設長の方針.②看護責任者の方針を『施設の方針』とし,③医療機関の併設,④環境整備(個室等)を『環境整備』としました.また⑤栄養・食事,⑥疼痛緩和を『医学的全身管理』とし,⑦看護体制,⑧介護体制を『人材(マンパワー)」としました.更に⑨精神(心理)的支援,⑩家族とのかかわりや話し合い(価値観等)を『心理社会(ソーシャルワーク)』としました.

[1]施設の方針,[2]環境整備,[3]医学的全身管理,[4]人材(マンパワー),[5]心理社会(ソーシャルワーク)としました.

これは,順位をつけるものではなく,どれもとても重要ですが,強いて言えば,(1)看取りを可能にする要因/(2)見取りに関する課題となる要因共に,[5]心理社会(ソーシャルワーク),[4]人材(マンパワー)が高かったです.

更にこの点を分析していくと,(1)可能要因が(2)課題要因を上回った[2]環境整備については,環境整備については,達成している施設が多いことが理解でき,また(1)可能要因が(2)課題要因を下回った[5]心理社会(ソーシャルワーク)は,看取り実現のために取り組まなくてはいけない課題ということが分かりました.

次に,施設・病院の課題を少しせりしておきます.

●施設の課題…見取りを行うためにとても重要なものは,「指針・ガイドラインの確立」であることがわかりました.見取りを行っている施設の80%は「指針やガイドライン」が存在していました.そういった意味では,各施設ごとに看取りに関する「指針・ガイドラン確立」が最優先項目であることが分かりました.

また,「心理社会(ソーシャルワーク)」の体制確立も看取りを実現する為の重要項目でした.そういった意味では,どのようなタイミングで話をするかということも重要ですが,それ以上にどのような内容を盛り込んで話をするか.そして,死を目前とした本人・家族の要望は日単位で変化することを意識して(死期が近づき,患者本人の様態が変動知るようになった場合は,秒単位で変改することを意識しておく),「本人・家族との話し合い」を行っていく必要があることが理解できました.

●病院の課題…調査結果では,家族は,看取り(ターミナルケア)において,死に対する価値観や今まで生きてきた人生観などを理解して欲しいという要望が強いと考えられ,疼痛コントロールや栄養・食事などの,「医学的全身管理」に関しては,「先生へお任せ」というご家族も少なくありません.しかし,従来の医療編重の価値観とは違い,「丸投げ」ではありません.

現在は,患者一人ひとりの意志の尊重や尊厳のある生き方,そして残される家族の思いを大切にするといった価値観に変化しています.

そういった意味では,我々医療従事者も,家族との死生観や価値観に関する話し合いを十分に行う必要があります.つまり,患者家族が医療機関(病院)に要望するものも「医療」のみでなく,「話し合いの機会」などのソーシャルワーク機能です.

更に,明確なガイドラインやフローチャートなどを作成し,基準の明確化をしておく必要があります.勿論,ケースバイケースなのですが,標準が無ければ,何がスタンダードなのか,そしてもしそうでない場合は,そうでない要因を分析することが重要なのだと思います.

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と,書き続けると,終わらなくなってしまいますので・・この辺りで終わりにしておきます.

ただ最後に一言.私の考える連携は,ただ手を繋ぐことでなく,重要なことは,各施設が,専門性(役割・機能の明確化)や限界性を自身で理解した上で,地域の各施設がテーブルに自分たちの専門性や限界性を一度全部出して,それでお互いを補完しあっていくことだと思っているんです.

そのためにも,限界性を提示することも重要です.それは弱みでも何でもありません.

ちょっと言いすぎですが,隣の施設のベットも地域単位で考えれば,私が使えるベットなんですよね.これは他の施設も同様で,当院のベットも,社会資源なんですよね.地域が使える…

以上,連携,見取りのお話でした.

 『死ぬ瞬間』 キューブラー・ロス ターミナルケアを理解する上で,初歩的な書籍です.一度は目を通して置いてください./死とは、長い過程であって特定の瞬間ではない―人生の最終段階と、それにともなう不安・恐怖・希望…二百人への直接面接取材で得た“死に至る”人間の心の動きを研究した画期的な書。 .(「BOOKデータ」より) 

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