ソーシャルワークの統合化
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本日,5時起床. 時間が経つにつれ,雲が抜け,青空が多くなってきました.本日は,東京は快晴とまでは行きませんが,曇り&晴れといったところでしょう.しかし,雲の間から垣間見える「空」は,もう夏のものです.
昨日は,午前,病院勤務のあと,午後からは学芸大学で講義でした.
社会福祉援助技術演習では,『共感』について講義をしました.次回は,事例を活用して,実際,「共感」をしてみたいと思います.昨日の講義では,共感に関して,解説をし,来週取り扱う事例の概要をお話しました.
社会福祉援助技術論では,ソーシャルワークの統合化について整理をしました.統合化の変遷を見てみると,1955年のNASW(National Association Social Workers):全米ソーシャルワーカー協会結成が直接的な契機となり,「統合化」への動きが一気に促進されました.勿論その前から「統合化:ジェネリック」の議論はありました(例えば,1929年ミルフォード会議).その後,ソーシャルワークの統合化に大きく影響を与えた理論として,「システム理論」があります.更に,「生態学(エコロジカル)理論」があります.
この統合化の流れについては,以下のように整理されています.
まず一つ目は,三技法(ケースワーク,グループワーク,コミュニティオーガニゼーション)を単に束ねた形の統合で『コンビネーション・アプローチ』です.このアプローチは,ソーシャルワーカーが,クライエントへの援助内容に応じて,最も適切な方法を適宜組み合わせて活用したものです.
次に,①のコンビネーション・アプローチと同じ認識に立ちながらも,各方法論に共通する原理や技術を抽出することによって共通基盤を確立しようとした,②『マルチメソッド・アプローチ』があります.
更に,専門職としてのソーシャルワークの共通基盤を確立した上で,そこから全体を特徴(特質)づける枠組みを再構築することで,統合化を実現した形を③『ジェネラリスト・アプローチ』といいます.
最後に,1990年代以降,これらの統合化がもたらした到達点として,④『ジェネラリスト・ソーシャルワーク』という統合形態が確立されました.これは,三技法がソーシャルワークとして統合されるとともに,統合されたソーシャルワークと,概念的にあった「共通基盤」をも統合した形態のものです.
図式で解説するとわかりやすいのですが,文章のみですみません.と,いう講義を行いました.学生の皆さんは,予習復習をしっかりして置いてくださいね.ここ数回の講義で,学生間の「差」が生じているのは事実ですから.せめて,社会福祉特有の用語については,この夏休みを使ってしっかり学習して置いてくださいね.
昨日も,講義後,とても熱心な学生さんから質問を受けました.リッチモンドの「個人」と「社会環境」と,ジャーメインの「個人」と「環境」の大きな違いは何か.あとは,「診断主義」と「機能主義」のパーソナリティの捉え方の大きな違いは何か.という質問でした.彼女は,彼女なりに考え,自分の見解を話してくれました.理解しようと,様々な文献も読んでいます.とても熱心ですよね.私は,彼女の意見を十分に聞いたうえで,黒板を使い,解説をしました.
『エコロジカルソーシャルワーク~カレル・ジャーメイン名論文集』 学生の皆さんは,この本については,この夏休みの課題図書と言っていいほど重要ですので,必ず一読して置いてください.
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