リッチモンドという人
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本日4時半起床.この頃少し早く目が覚めます.明るくなると「起きる」といった,自然なリズムです.冬場の4時は真夜中ですが,この時期の4時は朝です.日本でも,サマータイムを導入すればいいのに.と思うことがあります.
昨日は,午前中病院勤務.午後から学芸大で講義でした.今回は,授業の詳細のお話はしませんが,演習の授業では,先週に引き続き,他者理解を中心に,ロールプレイを行いました.
援助技術の授業では,リッチモンドを取り上げました.私個人的には,リッチモンドをもう少しじっくりやりたいのですが,テキストで,リッチモンドの『Social diagnosis:社会診断(1917)』や『What is social case work?:ソーシャルワークとは何か(1922)』に関して,細かく説明をするものがありません.そのため,講義では,板書を中心に,リッチモンドが科学的根拠としたものは何か,「個人」と「社会環境(環境)」をどのように規定し,それらの関係性をどのように整理したのか.ソーシャルワーク目的はなんだったのか・・・などを,丁寧に解説していきます.
リッチモンドのソーシャルケースワークの定義については,小松(1991)によって紹介されています.それによると,『人間と社会環境との間を個別に,意識的に調整することを通してパーソナリティを発達させる諸過程から成り立っている』と紹介しています.このほか,杉本(1963)もリッチモンドのソーシャルワーク定義を紹介しています.
整理していみると,リッチモンドの時代のソーシャルワーク萌芽期におけるソーシャルケースワークの目的は,パーソナリティの発達でした.ではパーソナリティとは何か?それは,人間における生来的・個人的なものを意味するものではなく,教育や経験,他者とのかかわりなどによって,身についていくものであり,体質的遺伝や受け継がれた普遍の生来的特質は,個人的なものであり,パーソナリティではないとしている.つまり,パーソナリティとは,人間の発達してきた共同社会や制度に密接に関係しているということです.
そのため,パーソナリティを形成する要素には,「社会環境」も必要となってきます.リッチモンドは,社会環境を以下のように整理しています.社会環境とは,単に空間的な環境ではなく,人間の思考や人間環境を維持していけるギリギリの際までに拡張され,人間における感情的,情動的,精神的生活に,実際に影響を及ばす範囲であるとしています.
このことから,パーソナリティとは,個人に所属するものですが,極めて社会環境の影響を受けてるものであり,視覚的にいうと「皮膚」のような存在であるといえるのではないでしょうか(これはあくまでも私の表現です).
ソーシャルケースワークの定義にある「諸過程」については,前著の『Social diagnosis:社会診断(1917)』を参考にして欲しいと思います.これを指しています.
更に,リッチモンドは,洞察(アセスメント)として,「個人性の理解」と「環境の理解」を挙げ,アプローチや援助視点(行為)としては,慈善的視点や心(心理面)に対する直接的な作用と,社会資源を通じての間接的作用や社会資源の活用を挙げています.このほか,共感の重要性や技能訓練(ソーシャルワーク教育)の重要性も述べています.
・・・と,リッチモンドのことを語ると,止まらなくなってしまいます.昨日も講義でお話しましたが,各自で,自主学習をしておくとよいのではないでしょうか.続きは,以下の参考文献をご覧ください.
左:小松源助著(中央法規出版) 右:杉本一義著(出版館ブッククラブ)
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