ワーキングプア ~モラルハザード
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涼しい朝ですね.本日は,寒の戻りの特異日のようです.統計的に,昨日今日が,寒の戻りが起こる確率が高い日のようです.昨日は,とても暖かかった一日ですが,本日は,少しヒンヤリしますね.
昨日は,午前専門学校で講義をし,午後から病院勤務でした.午後の病院勤務は,予約面接と,予約のない面接で,結構バタバタしました.電話連絡や調整などもたくさんありました.昨晩は,病院のスタッフと,会食でした.後輩たちの合格祝いという名目でフレンチを食べに行きました.シャンパンから始まり,白ワイン,赤ワインと・・,ワインを堪能しました.この頃,ゆっくりワインを飲む時間もなく,様々なワインを楽しむことが出来ました.フランスのワインが中心でしたが,イタリアのワインもいただきました.
本日は,一日病院勤務です.
さて,この頃,大学や専門学校などの講義で,社会福祉の導入部分をお話しているため,福祉や社会福祉のイメージやそのものの意味を学生さんたちと議論する機会があります.講義では,社会福祉という考え方や社会福祉の構成要素,社会福祉とは何か,という問いに対し,学問的に整理をおこなっています.
学生さんの「福祉」「社会福祉」に対するイメージの多くは,「助け合い」や「優しい心」,「ボランティア」,「高齢者の介護」・・などがあがります.理念的に福祉を考える場合,「助け合い」や「優しい心」という考え方,つまり,全ての人が幸福であること・・その人らしい生き方の保障となります.実体的な概念として福祉を捉える場合は,何らかの問題を解決するための方策や技術といえるでしょう.つまり,制度政策論的な視点と,方法機能論的な視点です.
そして,社会福祉の法律などを整理していく中で,日本の福祉がどのように体系づくられたかも解説しています.その始まりとして,社会福祉六法を紹介していますが,皆さんがイメージする「高齢者福祉」に関しての法律は,1960年代になって誕生し,社会福祉六法の中でも後半に出された法律であることがわかります.因みに,社会福祉六法は,1946(昭和21)年の旧生活保護法(1950年に現行法)からスタートし,1947(昭和22)年「児童福祉法」,1949(昭和24)年「身体障害者福祉法」が出され,1960(昭和35)年「知的障害者福祉法(成立当初は,精神薄弱者福祉法)」,1963(昭和38)年「老人福祉法」,1964(昭和39)年「母子及び寡婦福祉法」です.
このことからわかることは,①福祉のスタートやそもそもの意義としては,「貧困」の対策であるということ(生活保護法に代表される),②皆さんがイメージする「高齢者福祉」は,近年に議論さえ,飛躍的に発展してきたのだと,いうことです.
今日は,最後に,現代の「貧困」について統計を紹介して終わりにしたいと思います.
『ワーキング・プアー』と,言う用語は見聞きしたことがあると思います.造語ですが,NHKの特集で『働く貧困層(ワーキング・プアー)(2006年7月,12月,2007年11月報道)』について報道され,その後,この用語は一般化されました.国税庁(2006年)の「民間給与統計」によると,年収200万円以下の人が1000万人(23%)を超え,年収300万円以下は,全労働者の38.8%に当たると報告しています.
特に近年は,就職困難期であり,正規雇用の職を得ることが出来ず,不安定な非正規雇用や派遣社員としての就職を余儀なくされてる人々も多く,今後,一層,この現象は加速するのではないでしょうか.
そういった意味では,「貧困問題」は過去の問題,過去の福祉問題ではなく,我々福祉の専門家は,もう一度,現代の「貧困」について検証していく必要があるのではないでしょうか.この問題は現在,「働くことが出来ない」という現実よりも,働かないで収入を得るという「モラルハザード」を懸念する考え方もあります.この「貧困」という問題は,過去を見てみても,人のモラルや概念,イデオロギーに大きな影響を与えるIssue(イシュー)であること事実です.
朝から難しい話ですみません.
『無責任の構造 モラルハザードへの知的戦略』 岡本浩一著このブログの順位へ←このブログのランキングもわかります.今後ともよろしくお願いいたします.
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