ソーシャルワーク(社会福祉学)はそんなに狭義の学問じゃない

28 10 月, 2008 (08:32) | コラム(ライフスタイル), コラム(介護・福祉・医療), 後継者育成事業, 推薦図書, 東京学芸大学

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本日は,あまり寝ていません.昨晩,寝る寸前にトラブルが・・・.睡眠が不足するとストレスが溜まりますね.ただそれをいつまでも引きずっているわけにも行かず,通常業務です.ただ続けるしかないのです.昨日は,午前病院,午後から学芸大で講義でした.

昨日の講義は,3年生を対象とした援助技術演習では,(夏に行った)実習の際,どのような視点で実習を観察・考察したかについて,それぞれ話してもらいました.利用者のニーズを観察したり,施設(機関)の役割や機能,機関の地域での役割,ソーシャルワーカーの役割や機能,利用者の特性などなど・・様々でした.その後,私からやや厳しめのコメントをさせていただきました.それは,皆さんの観察・考察は,皆さん個人の主観で,客観的な考察がなされていないことを指摘しました.実習は,見学会と違います.実習生は,実習先(機関)にとって,お客様ではありません.自ら能動的に動かなければ,いつまでも受身の姿勢では,何も学ぶことは出来ません.わからなければ調べる.実習中,何回本を開きましたか?図書館に通いましたか?実習日誌は,主観と客観を明確にして記述できましたか? 授業でもお話しましたが,自分がそれを見たときの解釈として,どのものさしを使ったかが重要です.ものさしとは,理論やアプローチ,先行研究です.言葉一つ一つも概念化されているし,自分の感覚で,用語を理解しないことが重要です.少し厳しいコメントでしたが,皆さんなら出来るからコメントさせていただきました.

あと,心配なのは,クラス全体のパワーが落ちていることです.一人ひとり,未来への漠然とした不安があるのですね.悩んだり,考えたり・・することも,する時間も大切ですが,「すぎる」のは,よくない.人は,考えた瞬間に「不安」になるものです.何故なら,「わからないから」「未来はだれにもわからない」から不安になります.

フィードバックシートを読んでいると,「福祉の仕事には就かないので・・」の様なコメントをされる方がいらっしゃいます.それは,それでいいと思います.が,心配なことは,福祉やソーシャルワークをとても狭義に捉えており,誤解しているのではないかということです.昨日もお話ししたように,ソーシャルワークは,利用者・家族と面談するだけの狭い範囲で活動する専門家ではありません.もし,実習先で「社会福祉士を持っていても,それが生かせる職場じゃないよ」とか,「ここでは,社会福祉士の資格はあまり関係ないよ」なんていわれた方,それは違うと思います(もし,こんなことを学生の前で言っている社会福祉士が居たら残念です.というか軽蔑しますね).それは,働いている人の「意識化」の問題だと思います.資格を持って,ソーシャルワークの技術や知識などを駆使して,支援しようと「意識」していれば,それはすべてソーシャルワークです.椅子にずっと座ってても(デスクワーク),地域にずっと出ずっぱりでも(フィールドワーク),それはソーシャルワーカーです.出来ないこと,思うようにいかないことは,たくさんあります.それは,何もソーシャルワーカー(業界)だけの問題ではないと思います.資格に誇りを持って,ソーシャルワークの知識や技術を駆使する努力,(組織の都合などで)出来なくても「意識化」する努力が大切だと思います.

もう一度,直接援助技術,間接援助技術について復習をしておいてください.利用者や家族と面談だけすれば問題が解決すると思ってる方,虐待などの複雑なケースはこれだけの支援では,問題が解決することはありません.福祉やソーシャルワークとは,もっと,もっと奥が深くて,幅広い概念です.この辺りは,授業前の時間を使って,今後も丁寧にお話していきますね.出来れば,皆さんと一人ひとり面接をしてあげられるともう少し違うんですけどね.非常勤講師の限界性ですね.でも,私の授業に参加している人は,誰一人置いていったりしないので,大丈夫ですよ.

次に,2年生を対象とした援助技術論では,ソーシャル・ケースワークの支援法とソーシャルワークの原則について触れました.いよいよ,ソーシャルワークの専門的なお話になってきました.ワクワクしている方も多いですね.前回,今回と2年生の集中力が高まってきました.気持ちが入ってきました.クラスに入ればそのクラスのモチベーションは直ぐにわかります.そして,そのクラスのモチベーションは,個人個人に大きく影響を与えていることもわかります.フィードバックシートもとてもいいです.それぞれ,ドンドン疑問に思い,それを自分で調べる癖をつけてください.出来る限りフィードバックシートには,お答えしたいのですが,時間の関係上すべての方の質問や悩みにお答えできるわけではありません.このブログを活用して,返答もしていきたいと思っています.

私の教育理念は,『ただ単に要領よく仕事ができる,一見形だけ整っている援助者(ソーシャルワーカー)を育てたいと思っていません.上手に表現できないけれど,不器用だけど,一生懸命で直向な学生の力になりたいと思っています.ものの見方やものの捉え方,利用者本人や家族,グループ(集団),地域などの捉えかたを一面的に把握し,支援するのではなく,多面的に,様々な要素や力を信じ,育て,伸ばしていける・・・そんな支援ができる援助者を育てたい』と思っています.そのためには,正しい知識的理解と,専門的な援助技術や福祉特有の価値や倫理を習得する必要があります.そのお手伝いをしたいと思っています.まだまだ未熟ですが,精一杯頑張りたいと思います.よろしくお願いします.

今日は,一日病院勤務です.

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