勉強会 ~とても有意義な時間でした.ありがとうございます.

30 8 月, 2008 (08:37) | コラム(ライフスタイル), コラム(介護・福祉・医療), 人材交流, 後継者育成事業, 講義・公演・講習

4時半起床.というより,20分程度の仮眠を取ってだけです.昨晩のブログが現実となってしまいました.「週末だから寝なくても~」なんて書きましたが・・・あの後,色々あり仕事を始めるまで少し時間がかかってしまいました.本日は,病院勤務.後,大学院時代の仲間と飲み会です.新宿でワイン&ピザ食べますよ!

さて,今回は,昨日の勉強会の話をしたいと思います.前回より今回と人数も増え,皆さんで様々な視点で事例を検討することが出来ました.本当に有意義な時間でした.参加者の方で,『こうやって丁寧に1つの事例を検討することは,とても重要であり,またとても新鮮だった』という感想や『利用者さん一人ひとりを丁寧に検討することが必要で,法人全体だと100人くらいの利用者がいるので,100通りの事例が出来ますね』,なんていう感想もありました.こうやって皆さんで話をすることの重要性を再認しました.

内容ですが,まず,今回初めての方もいらっしゃいましたので,簡単な私の自己紹介と,前回の復習として,「なぜ勉強会をやるのか?事例検討とは何か?」について雑駁ですが整理しました.例えば,支援に「間違った」とか,「正しい」とかはないこと.その場で最善の方法はなにかを検討することの重要性.我々援助者は,常に様々な部面で「困った」の連続なんだということ.だからこそ,その「困った」を皆で話し合うことが重要であること.そして,その場は,支持的な空間であることが大切であること.更に,結論ではなく,その話し合いのプロセスを重視すること.最後に,事例提供者に感謝と拍手を送ることの大切さ.下手でもいいから,一度事例をまとめてみることの大切さをお話し,そのためには,日頃の臨床から意識して支援をすることが必要であることを整理しました.

そして,いよいよ,事例検討です.今回は,Aさん(20歳代):自閉症の事例を検討しました.簡単に事例の概要を説明しますと,作業所に通い約5年になるAさんですが,集中力が持続しないこと,仕事に見通しを持つことが難しいことがあり,作業能力自体は高い方ですが,職員が付きっ切りで側にいないと,遊びをはじめてしまいます.ある日,順調に作業をしていたため,職員がAさんから離れると,直後遊びをはめてしまいました.職員が側に行くと,「お仕事」と言って,作業を始めます.また離れると遊びが始まってしまいます.この繰り返しなので,結局,職員が側につき作業を継続しました.という事例です.短くまとめた上,提示された事例から更に個人が特定できないように加工しているために,わかりにくいかもしれませんが,このような状況は作業所では多々あることです.

まず始めに,事例提供者から事例の概要を説明してもらい,次にフロアー(参加者)から自己紹介,素朴な感想・事例に関する印象,不足した情報の整理を行いました.私からは,5年前から現在までの変化はどのようだったのか? 集中力が持続する場面があるのか? 時間の認知が出来るか?を質問しました.ここで,事例に関して,そしてまたAさんの理解が深まりました.そこで,皆さんからの意見や感想をもとに,私からこの事例が示すものを3点例示ししました.

①本人の意識:「仕事」か「遊び」なのか?

②個別化と全体性:支援者の苦悩

③個人と環境:問題の原因と所在

①については,Aさんは,仕事と認知して作業を行っているのか?それとも,遊びの延長として作業を行っているのか?です.また,Aさんの「お仕事」は,仕事としての理解なのか?状況を判断して「お仕事」と言っているのか?を検討しました.②の個別化と全体性は,支援者の苦悩と言う切り口で,話し合われました.ある参加者が,他の実践で,利用者が気になるものをすべてを取り除いたら,その他の人の不便が出てしまった,と言う例をお話してくれました.個別化とは何かについても少し話し合われました.最後の③は,問題の所在が「個人」にあるか,「環境」にあるかという議論です.

これらの議論から,私のコメントとして,以下の整理を行いました.

①学習理論(認知行動療法)の簡単な知識的補充,ノルマ・対価・評価というものの明確化,始業・終業・休憩のメリハリと,切り替え方法の検討及び明確化.

②平等とは,かかわりを均等にすることではないということ.*これについては,次回以降取り扱い事とする.

③問題の所在は,「個人」の内在にあるものでもなく,また同様に「環境」が内包しているものでもなく,「個人」と「環境」との相互作用面・接触面にあること.つまり,社会福祉学では,問題現象を「個人の障害や性格の問題,個人の脆弱性」のみ,や「環境の脆弱性,社会システムの弱体化」のみに分離して検討するのではなく,「個人の障害や性格の問題,個人の脆弱性」と「環境の脆弱性,社会システムの弱体化」との摩擦によって問題が生じていると捉える考え方.

最後に,フロアーからの感想(前掲),事例提供者からの感想,私からの総括をおこないました.総括としては,事例の全体的なフィードバックと技術的なことですが,タイトルを必ずつけること,事例の取り扱いは厳重に行うことをつけ足しました.今回の事例は,タイトルがついていなかったのですが,私からは「ステップアップ」「変化の時期」「成長・次段階」「ギアチェンジ」といったようなポジティブなタイトルをつけるといいのではないかと提案しました.その後,食事をして,昨日のブログに繋がります.

以上まだまだ書ききれないくらいのたくさんのことがありますが,この辺りで感じてください.

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