北京五輪 ~ソーシャルワーカーの視点から

8 8 月, 2008 (08:31) | コラム(ライフスタイル), コラム(介護・福祉・医療)

暑い朝ですね.水分補給と栄養補給しっかりしてください.わたしもだいぶ夏バテ気味ですが・・・ ソーシャルワーカーとしては,セルフコントロールも仕事のひとつなので,しっかり水分&栄養補給したいと思います.


さて,今日は,たぶんこれを取り上げないと・・・地球人として・・・ですので,とりあげます.あまり取り上げたくないのですが・・・


今日,北京五輪(オリンピック)が開幕しますね.開催の判断等については,ここで議論しません.が,ソーシャルワーカーとして,知っておいてほしいことが二つあるので,ご報告します.*これはあくまでもソーシャルワーカーの視点からです.他の視点からであれば,もっと違った議論になると思いますので・・・それを踏まえてお読みください.


まず一点目は,6月2日付けで北京五輪組織員会より『五輪期間における外国人出入国・中国滞在期間に関する法律指針』が出されましたが,五輪開催期間中の入国が禁止されるものとして,「精神病・ハンセン病・性病・開放性肺結核の感染病に罹患しているもの」が挙げられています.勿論,開放性肺結核については,国内においても治療の対象なので当然ですが,精神病やハンセン病,性病に関する間違った理解が行われています.これに対し,ソーシャルワーカーの専門職団体である「日本医療社会事業協会」は,「北京五輪における障害者・傷病者差別に対する声明」として,改善(改正)を求めています.


もうひとつは,中国国内での差別問題です.中国上海市の公安当局は,北京五輪期間中の安全確保を理由に,同市出身者以外の精神病患者を五輪終了まで市内の病院に強制的に入院させる方針を決めました(8月1日付上海各紙が伝えています).7月29日に市内の繁華街で,精神障害で通院歴がある安徽省出身の男がナイフで買い物客5人を切りつけた事件を踏まえた措置と説明していますが・・・. 精神障害の有無と事件を結びつけることに意味があるのでしょうか? 統計的に見ても,精神障害者とそうでない人の犯罪率は,明らかにそうでない人のほうが高いのですが・・・. この繁華街の事件も,薬のコントロールの問題はあったかもしれませんが,彼が生活する地域の体制はどうだったのか,彼の持つ環境面はどうだったのかを丁寧に検討することが重要です.障害を内在化し,彼自身の問題と捉えるのではなく,「障害を持つ彼」から「障害」を取り出し,外在化することで,「彼」と「障害」を分離して考える視点も重要となってきます.ここで,もう一度ICFの障害の定義を考えてもらいたいと思います.


さて,朝から北京五輪の話でとても難しいことを書いてしまいましたが・・・この五輪でも,パラリンピック行われるんですよ. 急速に発展する中国にとって,この五輪は,ひとつの試練です.世界が注目している,「人権問題」「環境問題」について,どのように対応していくのか.問われているような気がします.でも,この試練を乗り切れば中国ももっと,もっと発展していくのだと思います.わが国も同じアジアの国として,協力が必要ですね.EUのパワーすごいですもんね.アジアも頑張らないと.


開催するからには,素敵な五輪であってほしいと思います.テロや事件・事故,差別や弾圧などがない・・・素敵な五輪であってほしいです.


最後に,四川大地震の被災者の皆様,関係者の皆様の速やかな復興を,心よりお祈り申し上げます.