採点・・・結果・・・・!

30 7 月, 2008 (08:41) | コラム(ライフスタイル), コラム(介護・福祉・医療), 後継者育成事業

昨晩,上智専で行った最終試験(社会福祉援助技術)の採点を行いました.結果から言うと・・・・・(上智専の学生はドキドキですね)・・・ ん~とてもよかったです.学生の皆さん,成績楽しみにしておいてくださいね.授業の参加(出欠席含む)も十分ですし,試験結果もよく出来ていました.あと,これは個人的な感想ですが,問題5の感想&質問ですが,「楽しかった」とか,「わかりやすかった」とか,「内容がよかった」とか,「笑顔に癒された(笑)」とか・・・たくさんの言葉ありがとうございます. 私もとても楽しい時間でした.


さて,試験問題ですが,以下の4問です.


問題1 社会福祉援助技術の体系を整理した上で,1970年代以降の統合化の動向との関連について説明せよ.


問題2 診断派・機能派の特徴を整理し,これら二つを包括する「医学モデル」の問題点を説明せよ.


問題3 価値と倫理について説明せよ.


問題4 協働・アセスメントについてそれぞれ説明し,協働を行う場合アセスメントが重要な理由を説明せよ.


学生の皆さん,要点を得て簡潔に整理できていました.社会福祉士・精神保健福祉士,介護福祉士受験をする皆さんは,以上の問いに答えることできますか? とても重要なことを出題しているので,もしわからない人は,ワークブックなどを活用して,整理しておいてくださいね.簡単に解説すると・・・


問題1答え 社会福祉援助技術は,大別すると直接,間接,関連の援助技術に分けることができますが,直接援助技術には,ケースワーク・グループワークがあります.直接援助技術の特徴は,支援が同じ空間(時間と場所)で直接行われることにあります.間接援助技術の代表は,コミュニティワークやソーシャルアクションなどがあり,関連援助技術には,スーパービジョンやケアマネジメントなどがあります.そして,これらの援助技術は,1970年代以前は,それぞれが専門分化して発展してきましたが,1970年代以降,人々の抱える問題が複雑化することで,単一の援助技術では問題解決が困難になったため,すべての援助技術を包括し,その場面やニーズ・問題に適した支援方法が利用されるようになりました.


問題2答え 診断派は,ご存知のとおりフロイトの精神分析理論の影響を受けるもので,個人のパーソナリティの構造を診断し,自我の強化を図ることを通して,環境への適応能力を高めようとしました.また機能派は,ランクの個人の意志を重視すという意志心理学の影響を受けるもので,個人の意志を重視し,問題を抱えた個人が創造的に問題解決できる力を本来的に有するという前提に立ち,人々が援助者の機関の機能を自由に活用することで,自我の自己展開を手助ける援助を中心課題としました.そして,この二つの派はその当時対立していました.さらにこれらの議論が,クライエント不在のままで行われる中,パールマンが双方を折衷する形で「問題解決アプローチ」と提唱するのです.また,批判としては,医学モデルの進展は,個人に対する捉え方を明確にする点では優れていたが,反面環境面を軽視してしまったという問題がある.そういった意味で,『リッチモンドに帰れ』なんていわれて,改めてソーシャルワークは,「個人」と「環境」の両面を常に意識することの重要性を理解しました.


問題3答え あまり細かく説明はしませんが…大きくは,「人間としての平等と尊厳」「自己実現」「権利擁護」なんかがあげられるのではないでしょうか.また,近年の福祉の動向としては,ウェルビーイングやノーマライゼーションなんかも挙げられます.不明な方は,用語集を活用して整理しておいてください.


問題4答え 協働とは,利用者の自己実現や支援に向けて多専門職が協力して支援を行う体制のことです.これは,問題が複雑化してきた1990年代以降とても重視されています.また,アセスメントとは,ソーシャルワークプロセスのひとつで,インテーク(エンゲージメント)の次の段階です.アセスメントは,事前評価と訳されることがありますが,面接などで得られた情報を整理し,分析し,評価するこです.そしてこの事前評価を基に支援プランを策定し,実際の介入活動へとなるのです.そのため,このアセスメントはとても重要な作業といえます.最後に,現在の支援プランは,先ほどもお話したように,利用者の抱える問題が複雑化してきたため,単一の専門職によって規定され,支援が行われることは殆どありません.つまり,多職種が協働し,利用者の「ケアプラン」をたてるのです.このケアプランを作成するために行われる会議が,「ケアカンファレンス」です.その際,参加した各専門職は,それぞれの専門分野の見立て,つまりアセスメントを持ち寄り,発表します.このように多面的に問題を分析することで,複雑化する問題の解決が可能になるのです.そういった意味で,我々福祉専門職も,独自の見立てを策定することが重要となってきます.簡単に言うと,福祉専門職種にしか見えない視点とでもいいますか・・・ そういった意味で,皆さんもアセスメントを意識化してほしいともいます.


以上,本当に簡単な解説です.って,だいぶ書いてますが・・・ 見直しておいてください.参考図書は,以下のワークブックと用語集を提示しておきますね.