産業革命~COS(慈善組織協会)やセツルメント活動

11 5 月, 2010 (08:27) | コラム(介護・福祉・医療), 推薦図書

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昨日の学芸大講義のフィードバックをしたいと思います.


まず,援助技術演習のフィードバックをしたいと思います.


現在,この演習の授業では,主に「自己覚知」「自己理解」をテーマに,自分と向き合う作業をしてもらっています.一日や一週間で,自分をよく知り,あるがままに受け入れることなんて出来ないので,この前期の多いなテーマとしています.


だから,是非,受講生の皆さん,くれぐれも焦らず,ゆっくりやっていきましょう.


そして,この自己覚知とは,自分をよく知り,自身をコントロールすることを大きな目標としています.そのため,勘違いして欲しくないのは,「私は性格が悪いから,ソーシャルワーカーにむいていない」って見極めたり,「私は,○○だから,○○を直さなければいけない」って矯正や更生をしたりすることが,自己覚知の目的ではないと言うことです.


自分をよく知り,その自分をあるがままに受け入れる.そして,援助の際に,自身をコントロールする力をつけるトレーニングが,自己覚知です.



昨日は,一週間又はGWの出来事を,お一人ずつお話しました.実家に帰った方,バイトやサークルであっという間にGWが終わってしまった片,あまり活動しなかった方… そして,グループワークを進めていくうちに,日曜日の「母の日」もあったためか,両親に対する感謝を口にする学生も多かったです.


そこで,次のグループでは,「今感謝をしたい人.「ありがとう」を言いたい人」を話すことにしました.最初,課題を提示したとき,中々集中できなかった学生さんも,いざ始まると,どんどんグループ全体が「あたたかい」気持ちに包まれました.


学生さん一人ひとりが,そんなに多くの言葉を語ったわけではありませんが,とても「あたたかな気持ち」になれました.


フィードバックシート(リアクションペーパー)では,日頃から,人に感謝しているようで,中々,対面して「ありがとう」っていう機会が少ないんだなぁ~って言うことに気がつきました,とか.


グループワークで,「ありがとう」っていえてよかった,とか.実際,「ありがとう」って行ってみたいと思います,とか.


様々な感想を書いてくれました.



『感謝』って,今までの自分,若しくは今の自分を形成するとても大切な感情だと思うんですよね.だからこそ,自己覚知にも関係する作業だと思うんですね.


『感謝』の数ほど,自分は成長したのだと思います.私も思い返してみると,『感謝』なしには,今の自分はないと思います.


という,演習の講義でした.


◆◆◆


次に,援助技術論Ⅰ・ソーシャルワーク論Ⅲの講義では,ソーシャルワークや社会福祉の変遷について教科書とパワーポイントを使用しながらの歴史の勉強が始まりました.歴史と言うと,やっぱり学生さん,つまんないし… 眠くなっちゃいますよね.


でも,昨日の講義では,寝ている学生さん全然いませんでした.


この歴史の講義は,一ヶ月くらいは続けて,その後現代のソーシャルワークの解説へと進めていきたいと思っています.


で,このソーシャルワーク・社会福祉の変遷を学習するに当たって,学生さんに3つの課題を例示しました.


①福祉観・援助観の変化


②「個人」と「環境(社会的環境)」の捉え方の変化


③「問題」の捉え方の変化


以上,3点です.この三項目が,どのように変化したのかを中心に歴史を見ていくことを課題としました.


昨日の内容は,1500年以降のイギリスの社会の社会情勢を中心に1800年代後半までの歴史を一気に説明しました.


1500年代以降イギリスは,世界に先駆けて,産業革命がおこりました.イギリスの輝かしい歴史の1ページでもあります.しかし,この産業革命が進むにつれて,幾つかの問題が生じます.その問題が,急激に膨らんだのが1800年代です.


どのような問題が生じたかと言うと,貧困の問題です.そのほか,都市化や未熟な工業従事者の増加,低賃金労働,衛生問題などが生じました.


これに対し,イギリスでは,1601年エリザベス救貧法,1834年新救貧法を続けて出しますが,貧困対策としては,まったく効果を挙げられませんでした.それどころか,これらの法律は,有能貧民と無能貧民を選別し,有能貧民には労働を課しました.新救貧法では,ワークハウスという収容施設での救貧対策をするのですが,「貧困」は個人の怠惰や堕落によっておこるもので,個人の生活や考え方に問題があるとして,非人道的な支援が行われていました.


しかし,ロンドンのどの区画をみても,路上で食べるものがなく,「飢えている人々」がたくさんいました.そこで,ブースがロンドンの貧困調査をするのです.これによって,ロンドンの30.7%が貧困状態であると言う社会調査を明らかにしました.


これにより,「貧困」は,個人的問題ではなく,社会的問題であること証明されました.つまり,貧困は,国がシステム的に検討しなければいけない課題であることを明確にしたのです.



その後,これらの産業革命の諸問題を解決する方法として,COS(慈善組織協会)や,セツルメント活動などが行われるようになります.


このCOSは,1860年代には,ロンドンで相当数の慈善組織があり,それぞれの団体がそれぞれのルールやポリシーをもって貧民層の救済のための活動をおこなっていました.しかし,各団体・組織間での相互の情報交換や協力体制が不十分であったため,児童の危機的状況や,犯罪者の増加などに効果的に他王で来ていませんでした.また,各団体・組織がバラバラに活動をおこなっていたため,救済の重複や不正受給などの問題も起きていました.


そこで,ロックの指導のもと,要保護者の個別的訪問調査やケース記録の集積などを行い,各団体や組織同士の連携が徹底され「協力に基づく慈善組織化」のために,ロンドンの地区ごとに地区委員会を設置しました.


そして,このCOSは公的・民間・個人などの慈善事業の組織化を進めた点で,ソーシャル・アドミニストレーションの知識や技術が確立していき,更にケースワークについても,その実践に見る理論と方法,知識や技術を体系化していきました.


と,この辺りまでを一気に解説した講義でした.


用語や内容が不明確な方は,しっかり自己学習をしておきましょう.


来週は,セツルメント活動.そして,リッチモンドをやります.


◆◆◆


なので,復習をしたい方は,リッチモンドの本を読んでおくといいと思います.


 リッチモンド著 『ソーシャル・ケースワークとは何か』 名著です.そして,今読んでも色々考えることがあります.私は,時々読み返すことがあります.


今後ともよろしくお願いいたします.カーネーションにワンクリック.情熱ブログの順位が分かります ⇒ 人気ブログランキングへ


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