ダウン症の理解~勉強会

24 10 月, 2009 (08:43) | コラム(ライフスタイル), コラム(介護・福祉・医療), 推薦図書, 講義・公演・講習

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本日,5時起床. 本日の東京は,曇り空です.涼しく・・いや,寒いです.秋です.もうすぐ冬です.

昨日は,一日病院勤務で,夜,勉強会の講師でした.ということで,本日は,昨日の勉強会のフィードバックしたいと思います.

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昨日の事例は,Aさん(30歳代・女性) ダウン症 愛の手帳:3級 障害区分認定:3で,『Aさんの居場所づくり』というタイトルの事例を提示してくれました.本日は,内容の報告というより,ダウン症について,少し整理したいと思います.

この事例は,元々,授産施設的要素のある企業で就労をしていましたが,友人の退職を機に体調が悪くなり退職し,自宅療養をしていました(約3年).その後,抗うつ剤などの薬を調整してもらい作業所に通えるようになりました.

しかし,母親の突然の死をきっかけいに生活が大きく変化しました.その後,作業所などに来たり,来なかったりの繰り返しで今日に至っています.現在は,殆ど作業所には来所せず,家でCDやDVDをゴロゴロ見ている生活を送っています.

今後は,退所の方向で,新設の入居施設へ入居する方向です.

内容に関しても,議論もたくさんありましたが,本日は,ダウン症について少し知識的理解を深めたいと思います.支援をする際,最も重要なことは,対象者を多面的に,そして正確に理解することです.

ダウン症とは,常染色体異常のなかで最も多い疾患です.知的発達の遅れや,心疾患などの合併症を伴うこともある先天性の症候群です.21番目の染色体が1本多いタイプがほとんどなので,21トリソミー(全体の約9割強)と呼ばれることもあります(その他,モザイク型・転座型があります).この辺りまでは,ご存知の方も多いのではないでしょうか.

さて,今日取り上げたいのは,ダウン症の青年期について整理したと思います.

それは,うつ状態,心因反応です.青年期のダウン症者が突然部屋に閉じこもったり,今までできていたことがある時からできなくなったり,会話や発語が突然無くなったり,笑顔が無くなったり,といった変化が急に現れることがあります.

今まで陽気だったダウン症者が急に人が変わったようになるために家族の不安は大きいです.多くの場合,契機となる出来事があり,ある種の心因反応ではないかと考えられています.ダウン症の人の性格として,まじめさや几帳面さが知られており「要領よくこなす」ことが苦手な人が多い特徴があります.またダウン症者は比較的社会性に長(た)けていると言われるように他人の感情を理解することが得意な反面,人間関係で傷つきやすい感性を持っています.

この時期のうつ状態に陥った契機の例として,職場での対人関係,職場や作業所で過大な要求をされた,他人から悪口を言われた,両親が再婚した,兄弟姉妹が結婚して家を出たなどの生活上の何らかの変化があることが報告されています.ある調査では,約8割の人が何らかの心理的危機状態に陥ったと報告されています.今回の事例では,母親の突然の死や元職場での友人の突然の退職がこれに当てはまります.

また,他の調査では,20年前くらいまでは,殆どのダウン症者が入居施設で生活をしていたため,このような現象は報告されていなかったようです.近年,地域で生活し,一般就労をしたり,作業所に通っている人に多く見られる一種の心理的な危機状態だといわれています.勿論,仕事や作業所に通っているだけが心理的な危機ではありませんし,職場や作業所で適切なストロークやサポートを受けている人の心理状態は安寧・安定しています.

つまり,これらの研究から分かることは,適切なストロークとサポート体制が整っていること重要であること,信頼関係を構築した上で,本人のペースに合わせた支援を検討することの重要さです.

また,適切なアセスメントや状況の観察も重要になってきます.彼らがストレス状態であることをキャッチすること重要です.そして,そのようなストレス状態にあるときは,ムリをさせない,適切なストローク・サポートを行う,信頼関係があるスタッフや職員が声かけをするなどの配慮が必要になってきます.

早期の症状としては,笑顔が減った,言葉数が減った,独り言が増えた,部屋やお風呂からなかなか出てこない,朝起きられなくなったなどです.このような情報を早期にキャッチし,関わりのある援助者やご家族とカンファレンスを開くなどの対応をする必要があります.

少し長くなってしまいましたが,ダウン症の青年期には,このような取り組みがあることを理解しておく必要があります.

昨日の勉強会のまとめとも重なりますが,重要なことは,本人のペースを尊重すること,支援を行うための信頼関係をしっかり構築すること,適切に時期に適切な量と質のストロークやサポートを提供すること,行動や言動などから心理的な危機やストレスをキャッチすることが重要であることがわかります.

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本日は,一日病院勤務です.土曜日なので,フル回転です.

  とても分かりやすくまとめられています.これを機に正しい知識を習得しておきましょう.

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