パールマンという人

23 6 月, 2009 (08:15) | コラム(ライフスタイル), コラム(介護・福祉・医療), 後継者育成事業, 東京学芸大学

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本日5時起床. 昨日は,講義終了後は,早めに帰宅しました.帰宅後のシャワーとても気持ちよかったです.これだけジメジメしていると,何もしていなくても汗が出てきます.屋内と屋外の「湿度」の差にびっくりしますよね.体感できるくらい違いますから.

さて,昨日は,午前病院勤務のあと,午後から学芸大で講義でした.「援助技術演習」の講義では,前回に引き続き,面接技術・技法の講義&演習を行っています.学芸大は,カウンセリング(心理学)専攻の学生さんもいますので,カウンセリングの方でも,面接の演習を行っているようです.そこで,「面接」に対して疑問を感じている学生さんがたくさんいらっしゃいます.

それは,「面接」の意図というか,意味が不明確であるということです.カウンセリングの授業で「面接」をどのように位置づけているかはわかりませんが,社会福祉学では,「面接」自体が目的ではなく,個人の包括的・総合的理解や,問題の明確化などの一つの方法であるといえるかと思います.つまり,勿論,面接の技術は重要ですが,その面接で,利用者からどれだけ情報を収集できたか(量的な問題ではありません),どれだけ共感し,信頼関係を得られ,構築できたかが,重要となってきます.我々ソーシャルワーカーは,面接などによって収集した情報を基に,情報を整理・分析・評価し,具体的な支援方法・支援計画を策定していきます.更に,その問題に対する具体的な支援システムや社会資源などを提供,整備していきます.勿論,ゆっくりと時間を共有し,共感し,利用者の心理的支持を行う面接などもあります.

と,学生さんには,ソーシャルワーカーの「面接」について説明をしました.

次に,援助技術論では,1980年代:COS(慈善組織化協会)→1920年代:リッチモンドのソーシャルケースワーク→1940年代~:診断主義×機能主義(心理学の影響.社会環境を無視し,個人の心理的・精神的側面に焦点を当てるソーシャルワーク),という流れを説明し,昨日は,1950年代~のソーシャルケースワークを紹介しました.その中心人物は,パールマンです.このパールマンは,診断主義と機能主義を折衷させた人です.

まず,1940年~1960年代のアメリカの社会状況やソーシャルワーカーの内部の話などから,当時,ソーシャルワークに対する不要論があったこと,この状況にパールマンは『ソーシャルワークは死んだ』という論文で,反省とソーシャルワークの必要性を訴えたことを解説しました.

パールマンは,「個人」か「環境」かといった議論や,ソーシャルワークは有用か? という問題に取り組む前に,目の前で困っている生活困窮者や社会的弱者がいること.目の前にある問題に着目して,それを支援していくことの重要性を説きました.これが,『問題解決アプローチ』です.ここでは,細かいことはお話しませんが,このアプローチの主体は「クライエント(利用者)自身」ということです.そして,「問題」についても,ワーカとクライエント(利用者)との対話により,クライエント自身に語ってもらいます.パールマンは,人の人生は問題解決の連続なんだといいました.また,本人自身がその問題に気がついていないときは,支援をいくらしてもその効果は得られないとしました.

このパールマンの問題解決アプローチは,現在のソーシャルワークの1アプローチとして,問題解決アプローチのみを使うことは,ありませんが,現在のソーシャルワークの基礎・基盤的な理論として,現代でも重要な考え方がたくさん整理されています.

更に,対話を重視したという点からは,同時期に発表された「バイスティックの7つの原則」との関係も説明しました.バイスティックの7つの原則とは,ワーカーの基本的姿勢を示したものです.

まだまだお伝えしたいことはたくさんありますが,このあたりでやめておきます.が,パールマンは現代のソーシャルワークにも重要な視点・考え方を示しています.

 『ケースワークの原則』 バイスティック(尾崎新 他翻訳) 昨日,講義で紹介した本です.是非一読してみてください.

本日は,一日に病院勤務です.

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