事例が教えてくれること~勉強会の報告

20 12 月, 2008 (08:29) | コラム(介護・福祉・医療), 後継者育成事業

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本日,5時起床.朝晩は本当に寒いですね.昼間は,陽がある日は,ポカポカです.昨日は,一日病院勤務のあと(午後からバタバタでした),知的障害を持つ人々を支援する作業所の勉強会でした.19時から始まり,終了は21時半頃.本当に活発な意見交換ができました.その後,いつも通り,いつもの小料理屋で打ち上げ&忘年会をしました.この飲み会も,定番化され,とても和やかな雰囲気です.帰宅は,0時半.その後,熱々のお風呂に入り,資料整理やメイルチェック等を行いました.睡眠時間は,短かったものの寝起きはとてもよかったです.


本日は,一日病院勤務.夜は,病院の忘年会です.オフィシャルな会なので,参加します.


さて,昨日の勉強会ですが,20歳代の自閉症の方のケース検討でした.詳細は,記載できませんが,大きく5点の解説をしました.それは,①親・本人=作業所のコミュニケーション不足,②インテークの重要性,③言葉の摺りあわせ(利用者の言葉に合わせて言葉を選定する),④説明と同意(インフォームドコンセント),⑤スモールステップです.


まず一点目ですが,親や本人と作業所とのコミュニケーション不足については,決定的に,このケースに関しては,コミュニケーション不足があらゆる場面で負の結果をもたらしています.ご両親も実は,作業所にプラスのイメージを持っていて,はじめ我が子をこの作業所に適応させようと苦悩します.しかし,その行為自体が試練となり,言語化できないフラストレーションから関係が悪化し,信頼関係は崩れ,不信感まで抱いてしまいました.我々援助者は,やはり,適切な時に,適切な量の声かけが必要です.それを教えてくれる事例でした.


また,二点目のインテークの重要性については,インテークの知識的な補充をしてもらいました.インテーク(Intake)は,受理とか,初回面接と訳され,エンゲージメント(Engagement)=契約と,言い換えられる場合もあります.インテークでは,主訴の摺り合わせによるニーズの明確化,状況の把握を行う場面であり,その事例やケースを担当するか,他機関へ紹介・送致するかを検討するソーシャル・ケースワークの援助過程の初期段階にあたります.このとき重要なことは,限界性です.①援助者や専門職の限界性であり,②機関の限界性です.我々援助者は,常にこの限界性を理解するとともに,これを利用者にも開示していく必要があります.


三点目は,言葉の摺り合わせ作業については,利用者やその家族の使用する言葉に合わせて,援助者側もその言葉を理解し,使用することです.これは,非常に重要なことです.今回の事例では,「連絡帳」「日記」「日誌」という用語でした.皆さん,この3つの違い明確にできますか? つまり,援助者自身も自身のイメージで用語を使っており,またご家族もご家族のイメージで用語を使用していました.ここでは,作業所側は,「日記」と言う用語を使いますが,ご家族からは,「日記」は書けない.「自閉症は,表現できない障害,作業所は自閉症のことがわかっていない」といい,「日誌」ならいいといいます.そして,内容を摺り合わせてみると,ほぼ同じ事を意図していたことがわかりました.しかし,議論の中で,「私も,日記を書くということには抵抗がある」「誰かに,見られる日記と言われると違和感がある」というコメントも聞かれました.また,この場面では,「自閉症のことをわかっていない」のではなくて,「わが子のことをわかっていない」のではないか・・と言ったコメントも得られました.とても勉強になります.


四点目の説明と同意(インフォームドコンセント)については,やはり,今後,行為や言動については,根拠を持ち,説明をし,同意をいただくといった一連の思考が重要なのではないでしょうか.また,この関連として,作業所は,何をする場所か.また,障害児を持つ親の参加者からは,作業所にどこまで求めていいのかわからない・・といったコメントももらい,参加者各々に,作業所の役割(自分が考える)を話してもらいました.そこでも,各々,総合的に支援をしたいという視点はあるものの,若干のイメージの違いがありました.そういった意味では,複数ある作業所(法人)なので,各作業所で今後特色をつけていってもいいのではないか,ついては,特別支援学校等などにわかりやすいパンフレットなどを作っていってもいいのではないか,などを提案しました.


最後五点目は,スモールステップです.これもとても大切なことです.目標に対して,どの様にアプローチしていくかを検討することが重要です.つまり,「どの様にアプローチしていくか」を科学的に示す作業がアセスメントです.だから,その人の持っている能力や力(ストレングス),行動パターンや変化,精神的な側面,身体的な側面,社会的な側面などを多面的に理解することで,目標に対して,具体的行うスモールステップが明確になります.その日と一人ひとりにあった支援方法を吟味することを学びました.


以上,5点をまとめとしてお話しました.昨日も,とても充実した勉強会でした.簡単ですが,報告させていただきました.


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