ソーシャルワークの援助過程(プロセス)

22 7 月, 2008 (21:54) | コラム(ライフスタイル), 後継者育成事業, 東京学芸大学

本日の講義は,『ソーシャルワークの援助過程(プロセス)』についてでした.


ソーシャルワークとは,援助者のカンや経験に基づいて行われるものではありません.つまり,ソーシャルワークは,自己の価値観や介護・福祉のもつつ価値双方を理解した援助者が,専門的な知識や技術を使って支援する専門的なかかわりを言います.そのため,「利用者の抱える問題」についても,援助者のカンや経験のみで,まるで呪い師の様に「あなたの問題は~ですね」って規定することはありません.利用者本人と十分な対話を通して,利用者の抱える問題とその構造を共に吟味していきます.更に,支援に活用する利用者本人の問題解決能力や対処行動のパターン,ストレングス(その人の強み)などなどを収集し,整理し,分析し,評価することで,その後の支援計画をたてます.その援助計画を基に,実際の支援を行っていくのです.もちろん,支援途中であっても,常に今行っている支援が適切なのかなどを点検しながら前に進んでいきます.その後,抱える問題が解決に至ったときも,今までの支援がどうだったかを事後的に評価を行います.そして,支援終了となります.


つまり,この一連の流れがソーシャルワークの援助過程なのです.具体的には,①インテーク(利用者との契約)→②アセスメント(情報収集・事前評価:ここでは,必要な情報を収集し,その情報をまず整理し,次に分析し,最後に評価を行います)→③プランニング(②に基づいて,具体的な支援計画を立案します.現在,この作業にも利用者が参画することがあります)→④インターベンション(実際の支援場面・介入,③の実施)/⑤モニタリング(計画に対する点検作業)→⑥エバリュエーション(実践における今までの支援過程や内容・効果などについて,検証・確認する作業で,事業評価といわれる)→⑦ターミネーション・エンディング(終結,支援の終わりの時期をさします)です.


臨床では,このようにきっちり①→②→③→④・・・と流れるのではなく,同時進行で複数の作業が行われることもあります.しかし,臨床家にはこれらの流れが「意識化」せず支援している人々もいます.もちろん形ではないので,適切な支援が行われればそれでいいのですが,やはり「結果」より「過程」を大切にするソーシャルワークにとっては,この辺りの作業を一つひとつ丁寧に行う必要があります.時々,「露木さんの支援は鮮やかだ」とか,「スムースだ」とか…言われますが,この流れに適切だからだと思います.やはりどんなに臨床を積んでも,科学的に重要だとされていることは,意味があることで,このような作業を丁寧に行っていくこと重要だと思います.あとは,「援助中感じる違和感(これは経験かもしれませんね)」は,何かあるのだから,立ち止まって検討・吟味すること,計画変更が必要であるならば,利用者にインフォームド・コンセントをして,思い切って修正することも重要です. つまり,その場その場で乗り切ろうとしないこと(計画なく,小手先でコチョコチョやるんじゃなくて,しっかり計画をたてて,じっくり支援を行うこと).そして,間違いはいい訳などしないで,素直に認め,修正作業に時間をかけること(いい訳に時間をかけるのではなく)が,重要だと思います.


あっ.ついまた講義を始めてしまいました.基礎は,やっていて面白くないし,覚えなくちゃいけないし・・・だけど,基礎はやっぱり大切なので,がんばって学習してください.私個人の考えとして,基礎を学べていないソーシャルワーカーには相談したくありません(ちょっと,厳しい一言ですが,人の大切の人生にかかわる仕事なのですから・・・あと,自分への戒めの意も込めて).


明日もこの続きです.明日は,インターベンション以降を整理していきたいと思います.